民法102条(代理人の行為能力)

【解説】

1.代理人の行為能力

代理人は行為能力者である必要はありません。

行為能力者というのは、単独で契約等をできる人のことで、要するに制限能力者ではないということです。

代理人が行為能力者である必要はないということは、逆に言うと代理人は制限能力者であってもよいということです。

これは一見非常に分かりにくいというか、話が逆ではないの?と思ってしまうところです。

代理においては、代理人が契約を行うという話をしましたが、それならば契約をする能力が必要なのであって、制限能力者を代理人にしてはダメなような気がします。

しかし、「代理人が契約を行う」という話と、もう一つ思い出して下さい。代理は、代理人が契約を行うが、その契約の「効果は本人に帰属する」という点です。

本人が、制限能力者を代理人に選任して、代理人が不利益な契約を締結したとします。しかし、その場合に不利益を受けるのは、代理人ではなく、本人です、本人はかわいそうな気がしますが、そもそも制限能力者を代理人に選任したのは、本人です。まあ、自業自得というわけです。

制限能力者制度は、制限能力者を保護するためのものですから、代理人として不利益な契約を締結しても、効果は本人に帰属するので、代理人自身は痛くもかゆくもありません。ということで、代理人は制限能力者でもよい。

ということは、制限能力者が代理人として契約する際に、保護者の同意を得ていなくても、その契約は取り消すことができないという意味になります。

さて、それでは次に疑問が湧きます。でも、代理権の消滅事由(111条)で勉強するように、代理人が成年被後見人になれば、代理権は消滅します。代理人は、制限能力者でもよいのではなかったの?という点です。

この代理人は行為能力者であることを要しないという点と、代理人が成年被後見人になれば代理権が消滅するという話は両立します。

つまり、代理人が行為能力者であることを要しないという話は、代理人を選任するときの話です。つまり、代理人を選任するときには、制限能力者であってもよい、ということです。本人は、それと分かって選任しているわけですから。

ところが、本人が代理人を選任したときには、行為能力があった。でも、その後、代理人が後見開始の審判を受けて、成年被後見人になってしまったという場合は、本人は正常な人を代理人にしたと思っていたが、その後事情が変化したということです。そういうときには、代理権は消滅します。