民事訴訟法391条(仮執行の宣言)

【解説】

1.仮執行宣言(第1項)

本条は、支払督促の申立てに対して督促異議の申立てがない場合に、債権者の申立てにより支払督促に執行力を付与するための仮執行宣言を付するための手続について規定されている。

具体的に手続の流れを見ましょう。

まず、債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしないことが前提です。

次に、仮執行の宣言をしますが、この宣言をするには債権者の申立てが必要で、職権で仮執行宣言がなされることはありません。この債権者の申立ては書面又は口頭で行います。

この債権者の申立ての期間は、債務者に支払督促が送達されてから2週間を経過した日から30日以内です(第392条)。

この債権者の申立てに基づいて仮執行の宣言がなされますが、この仮執行の宣言は、支払督促の原本に記載し(民事訴訟規則236条1項)、支払督促に手続の費用額を付記する必要があります(第1項)。これには担保は不要です。ただし、その宣言前に督促異議の申立てがあったときは、仮執行の宣言をすることはできません(第1項但書)。言い換えると、督促異議の申立ては、この仮執行宣言の前にすれば間に合います(第390条)。

2.送達(第2項)

そして、この仮執行の宣言は、支払督促に記載し、これを「当事者」に送達する必要があります。

まず、債務者に対する送達ですが、これは必ず正本を送達する必要があります。

また、債権者に対しても送達する必要があります。強制執行の申立てに必要だからです。この場合も正本を送達するのが原則です。ただし、債権者の同意があるときは、当該債権者に対しては、当該記載をした支払督促を送付することをもって、送達に代えることができます。「送付」というのは、送達のような厳格な方式を要しない方法です。

そして、この仮執行の宣言は債務者に送達されたときに効力を生じます(第5項で、388条2項を準用)

なお、仮執行宣言の失効と原状回復については第260条が準用されています(第5項)。

【参照条文】民事訴訟法260条(仮執行の宣言の失効及び原状回復等)

第260条 仮執行の宣言は、その宣言又は本案判決を変更する判決の言渡しにより、変更の限度においてその効力を失う。
2 本案判決を変更する場合には、裁判所は、被告の申立てにより、その判決において、仮執行の宣言に基づき被告が給付したものの返還及び仮執行により又はこれを免れるために被告が受けた損害の賠償を原告に命じなければならない。
3 仮執行の宣言のみを変更したときは、後に本案判決を変更する判決について、前項の規定を適用する。

3.仮執行宣言の申立ての却下(第3項・4項)

仮執行宣言の申立てを却下する処分及びこれに対する異議の申立てについては、第385条第2項・第3項が準用されているので、仮執行宣言の申立ての却下は、相当と認める方法で告知することによって効力が生じ、仮執行宣言に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から1週間の不変期間内にしなければならないことになります。