民事訴訟法386条(支払督促の発付等)

【解説】

1.趣旨

支払督促は、債務者を審尋しないで発しなければいけません(第1項)。これは簡易迅速に督促手続を進めるためです。

それに対して、債務者は督促異議の申立てをすることができますが(第2項)、これは督促手続を通常訴訟に移行して債務者の手続を保障するためです。

2.支払督促の発布(第1項)

支払督促は、債務者を審尋しないで発するので、裁判所書記官は、支払督促申立書の記載だけに基づいて申立ての当否を判断する必要があります。したがって、証拠の提出を求めてその取り調べをすることはできません。

3.督促異議の申立て(第2項)

支払督促に対しては、債務者はこれを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができます。この督促異議の申立ては、裁判所書記官の発した支払督促に対する不服申立てになります。そして、適法な督促異議の申立てがあれば、通常訴訟に移行しますが、訴額に応じて、裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされます。

したがって、この督促異議は、支払督促を失効させる効果があります(第390条)。なお、仮執行宣言後の督促異議は、支払督促の確定を遮断する効果しかありません。

この督促異議の申立ての方式に関する規定はありませんので、訴えに関する規定が準用されると考えられ、書面又は口頭で申し立てることができ(第684条による第133条1項、271条の準用)、支払督促を発した裁判所書記官の簡易裁判所に申し立てます。

そして、申立期間は、支払督促の送達後、それが失効するまでということになります(第392条)。

なお、督促異議の申立ては、通常訴訟に移行するまでは自由に取り下げることができます。