民事訴訟法370条(一期日審理の原則)

【解説】

少額訴訟においては、原則として最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならないとされています(一期日審理の原則、第1項)。

これは少額訴訟の特徴であり、1回の期日で審理が完了し、それだけではなく、その日のうちに判決の言渡しまでなされます(第374条1項)。

これは、一般の市民にとっては、少額の紛争について気軽に裁判を利用できるようにするためです。

このように1回の期日で少額訴訟を終了させるため、裁判官は、期日の冒頭において、当事者に対し、次に掲げる事項を説明しなければならないとされています(民事訴訟規則222条2項)。

  1. 証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができること。
  2. 被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができるが、被告が最初にすべき口頭弁論の期日において弁論をし、又はその期日が終了した後は、この限りでないこと。
  3. 少額訴訟の終局判決に対しては、判決書又は判決書に代わる調書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができること。

ただ、この一期日審理の原則も、「特別の事情がある場合」には、期日を続行し、2回以上の審理をすることもできます。

この「特別の事情がある場合」というのは、事件の内容や当事者の訴訟準備の状況等を総合的に考慮して、期日を続行してでも少額訴訟による審理、判決を行うことが適切である場合をいいます。

具体的には、重要な証人が同行できない場合、審理に時間がかかった場合、重要な書証を持参できない場合などです。

ただ、少額訴訟においては最初にすべき口頭弁論の期日の呼出しの際に、少額訴訟による審理及び裁判の手続の内容を説明した書面を交付することになっているので(民事訴訟規則222条1項)、当事者は1回の期日で訴訟が終了することは知っているはずなので、立証の準備を怠ったような場合には、この「特別の事情がある場合」に該当せず、1回で期日が打ち切られることもあります。

このように一期日審理の原則がとられる以上、当事者は、最初の期日前又はその期日において、すべての攻撃又は防御の方法を提出する必要があります(第2項)。また、裁判所は、訴訟代理人が選任されている場合であっても、当事者本人又はその法定代理人の出頭を命ずることができるとされています(民事訴訟規則224条)。

もちろん、この最初の期日における攻撃防御方法の提出の規定は、口頭弁論が続行された場合には適用されず、続行期日での攻撃防御方法の提出も認められます。