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マンション管理適正化法103条(設計図書の交付等)

【解説】

1.設計図書の交付

マンションの適正な管理のためには、建物の維持・修繕に関する長期的な計画を作成することが必要です。そのためには、建物等の設計図書が必要ですが、その設計図書が交付されていないため、建物等の内部構造が把握できず、維持・修繕のための長期的な計画の作成に支障をきたしている例が多くあったので、宅地建物取引業者に設計図書の交付を義務づけ、分譲段階におけるマンションの管理の適正化を図ったのが本条です。

本条の具体的な注意点を見て行きますと、まず宅地建物取引業者が「自ら売主」の場合であることが必要です。

次に、「人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。)」の分譲であることが必要です。「人の居住の用に供する独立部分がある建物」というのは、第2条の「マンション」の定義と同じです。また、新築の建物でなければ適用されません。

「分譲した」というのは、新築工事が完了した後において区分所有権の目的である部分を最初に分譲したときを指します。

そして、その分譲したときから「1年」(施行規則102条)以内に管理者等が選任されたときに当該管理者等に対して設計図書を交付する必要があります。このように「1年」とされたのは、最初の集会が開催され管理組合が実質的に発足するのは、建物の完成後、おおむね1年以内であることが多いからです。

そして、宅地建物取引業者が管理者等に交付しなければならない「設計図書」は、上記施行規則102条に列挙されています。

2.管理の引き継ぎ(第2項)

第2項は、宅地建物取引業者が、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物を分譲する場合の当該建物の管理の引き継ぎについて、宅地建物取引業者に努力義務を課した規定です。

この「人の居住の用に供する独立部分がある建物」について、第1項と異なり「新築」という部分が除かれている点に注意して下さい。