マンション管理適正化法82条(業務停止命令)

【解説】

前条の指示処分より重い処分として業務停止命令が規定されています。マンション管理業が行えないわけですから、これはかなり重い処分と考えてよいと思います。

停止の対象となる「業務」は、基幹事務以外のマンションの管理に関する業務もすべて含まれます。

処分を行うのは、国土交通大臣で、「1年」以内の期間を定めて、その業務の「全部」又は「一部」の停止を命ずることになります。

カギ括弧の部分がポイントですが、あまりに長期の業務停止命令は、事実上登録取消処分となってしまうので、「1年」という制限があります。また、業務の全部の停止だけでなく、「一部」の停止というのを命じることもできます。

それでは、具体的に業務停止命令の処分事由を見て行きましょう。

① 前条第3号又は第4号に該当するとき(第1号)

前条というのは「指示処分」で、具体的には、以下のものになります。
第3号…業務に関し他の法令に違反し、マンション管理業者として不適当であると認められるとき。
第4号…管理業務主任者が監督処分を受けた場合において、マンション管理業者の責めに帰すべき理由があるとき。

これらの場合は通常は指示処分に処せられますが、重大な違反行為があった場合には、指示処分を行うまでもなく、いきなり業務停止命令をすることができるということです。

② 第48条第1項、第54条、第56条第3項、第71条、第72条第1項から第3項まで若しくは第5項、第73条から第76条まで、第77条第1項若しくは第2項、第79条、第80条又は第88条第1項の規定に違反したとき(第2号)

これは、条文が列挙されているので、ややこしい規定です。簡単に言えば、マンション管理業者が、マンション管理適正化法の重要な規定に違反した場合は、業務停止命令に処せられます、ということです。その重要な規定が列挙されているということです。それでは、念のため上記条文の内容を書いておきましょう。

第48条第1項…マンション管理業者の登録事項の変更の届出
第54条…名義貸しの禁止
第56条第3項…専任の管理業務主任者の設置
第71条…標識の掲示
第72条第1項~第3項、第5項…重要事項の説明及び管理業務主任者の記名押印
第73条…契約成立時の書面
第74条…再委託の制限
第75条…帳簿の作成等
第76条…財産の分別管理
第77条第1項若しくは第2項…管理事務の報告
第79条…書類の閲覧
第80条…秘密保持義務
第88条第1項…従業者証明書の携帯

なお、第54条(名義貸しの禁止)の規定に違反した場合は、業務停止命令に処せられますが、第53条(無登録営業の禁止)は、処分事由の中に出てきませんが、これは当然です。業務停止命令は、マンション管理業者に対する監督処分です。無登録営業というのは、登録をしていないのに(つまり、マンション管理業者でないのに)管理事務を行うことですから、マンション管理業者に対する監督処分を受けることはなく、単に無登録営業をした者に対する罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金というマンション管理適正化法では一番重い罰則)を受けるだけです。

③ 指示処分に従わないとき(第3号)

指示処分というのは、マンション管理業者に対する一番軽い監督処分ですが、それに従わないわけですから、次に重い業務停止命令を受けるということになります。

④ この法律の規定に基づく国土交通大臣の処分に違反したとき(第4号)

「この法律の規定に基づく国土交通大臣の処分」というのは、具体的には、マンション管理業者が第85条の国土交通大臣の報告提出命令に違反したような場合が該当します。

⑤ マンション管理業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとき(第5号)

⑥ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が業務の停止をしようとするとき以前2年以内にマンション管理業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき(第6号)

マンション管理業者の登録の拒否(第47条7号)のところでも説明しましたが、「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」がマンション管理業の登録の申請をした場合、「法定代理人」が拒否事由に該当するかどうかが判断されます。したがって、「マンション管理業に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき」について、法定代理人がこのような行為を行ったかどうかも判断されます。

⑦ 法人である場合において、役員のうちに業務の停止をしようとするとき以前2年以内にマンション管理業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至ったとき(第7号)