マンション管理適正化法65条(登録の取消し)
【解説】
1.管理業務主任者等の登録の取消し
第1項は管理業務主任者の登録の取消し、第2項は管理業務主任者「資格者」の登録の取消しに関する規定です。
これらの登録の取消しは、第1項も第2項も「取り消さなければならない」とされており、必要的な取消事由となっています。
そして、登録が取り消されますと、国土交通大臣は当該管理業務主任者又は管理業務主任者資格者に対して、理由を付して通知しなければいけません。
2.管理業務主任者の登録の取消事由(第1項)
管理業務主任者の登録の取消事由は、下記の通りです。
① 第59条第1項各号(第5号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
第59条というのは、登録の欠格事由です。つまり、管理業務主任者として不適格になった場合ということです。
② 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
③ 偽りその他不正の手段により管理業務主任者証の交付を受けたとき。
②と③は説明は不要だと思います。
④ 前条第1項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条第2項の規定による事務の禁止の処分に違反したとき。
「前条第1項各号」というのは、指示処分事由のことです。
また、事務禁止処分の規定に違反して、事務を行ってしまった場合も、登録取消になります。
なお、管理業務主任者の登録が取り消されますと、同時に管理業務主任者「証」も効力を失いますので、管理業務主任者の登録を取り消された者は、登録の取消しの通知を受けた日から起算して「10日」以内に、管理業務主任者証を国土交通大臣に返納しなければいけません(施行規則78条2項)
3.管理業務主任者資格者に対する登録の取消事由(第2項)
管理業務主任者「資格者」というのは、分からない人もいるかと思いますが、管理業務主任者の登録はしているが、管理業務主任者証の交付を受けていない者です。
管理業務主任者になるには、
①試験に合格
②登録
③管理業務主任者証の交付
の3段階を経ていなければいけませんが、「②登録」の段階で止まっていて、③管理業務主任者証の交付を受けていない者のことです。あるいは、かつては管理業務主任者証の交付を受けていたが、有効期間が過ぎて、管理業務主任者証の効力が失われた場合などです。この場合でも、登録は一生有効なので、登録だけは残っています。
このような者は、「管理業務主任者」とはいえませんが、管理業務主任者の「登録」は受けているので、その登録が取り消される場合があり得ます。
その場合として、以下のものが規定されています。
①第59条第1項各号(第5号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
これは、第1項と同じで、登録の欠格事由に該当した場合です。
② 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。
これも問題はないでしょう。
③ 管理業務主任者としてすべき事務を行った場合(第78条の規定により事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者として行った場合を除く。)であって、情状が特に重いとき。
これは先ほど書きましたように、登録だけして、管理業務主任者証の交付を受けていない者は、管理業務主任者ではないので、管理業務主任者として事務を行うことはできませんので、これに違反した場合は、登録が取り消されます。
なお、括弧書きの「第78条の規定により事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者として行った場合を除く。」という部分は、そもそも第78条は、管理業務主任者(又は管理業務主任者資格者)でないことを前提としている規定ですので、除かれています。