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マンション管理適正化法59条(登録)

【解説】

1.管理業務主任者の登録(第1項)

管理業務主任者の定義は、第2条9号に規定されています。

管理業務主任者試験に合格し、登録をし、管理業務主任者証の交付を受けることによって「管理業務主任者」となります。

つまり、管理業務主任者になるには、試験に合格した後で、「登録」をしなければならないわけです。

それでは、試験とは別に「登録」というのが必要な理由は何でしょうか。それは、試験というのは、その人が管理業務主任者になるのに必要な「知識」を有しているかどうかを判断するもので、その知識とは別に、管理業務主任者として「適格性」があるとは限らないからです。

適格性というのは、「ふさわしい」ということですが、その管理業務主任者としての「適格性」を判断するのが、この「登録」というものです。

第1項では、登録をするにあたっての欠格事由が規定されています。

また、登録制度を設けることによって、国による管理業務主任者の監督をする必要もあります。

なお、管理業務主任者の登録は、マンション管理業者の登録とは異なり、有効期間の定めがなく、登録が取り消されない限り、一生有効です。


2.実務経験等(第1項)

管理業務主任者の登録をするには、「管理事務に関し2年以上の実務の経験」というものが必要です。

この2年以上の実務経験がない人でも、「国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたもの」については、登録することができます。

この「同等以上の能力」というのは、具体的には施行規則69条に規定されていますが、一番よく使われているのが「登録実務講習を修了した者」でしょう。登録実務講習を受けることによって、実務経験に代えられます。

さらに、登録をするには、この実務経験等にプラスして、第1項各号の欠格事由に該当しないことが必要ですが、次にその欠格事由について、一つずつ見て行きますが、マンション管理士・マンション管理業者とほぼ共通していますので、ポイントのみ指摘していきます。


3.欠格事由
(1) 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの(第1号)

ここのポイントは、「破産者で復権を得ないもの」が入っている点です。

破産者は、マンション管理士において欠格事由に当たりませんが、マンション管理業者・管理業務主任者においては、欠格事由に該当します。

管理業務主任者は、基幹事務である管理組合の会計の収入及び支出の調定並びに出納の実施にかかわるので、破産者も含まれます。


(2) 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日から2年を経過しない者(第2号)

禁錮以上の刑(禁錮・懲役)については、それがマンション管理とは関係のないどんな犯罪であっても、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない間は、管理業務主任者の登録を受けることはできません。


(3) 適正化法に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わった日から2年を経過しない者(第3号)

罰金刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年間登録を受けられないのは、「適正化法」違反の場合だけです。


(4) マンション管理士の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者(第4号)
(5) 管理業務主任者の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者(第5号)
(6) マンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者(第6号)

マンション管理士、マンション管理業者、管理業務主任者は、それぞれマンション管理の適正化に資する役割があるという以上、マンション管理士・マンション管理業者として不適格な者は、管理業務主任者としても不適格なので、マンション管理士・マンション管理業者の登録を取り消された者も、2年間は管理業務主任者の登録を受けることはできません。

管理業務主任者の登録を取り消された者が、2年間は登録できないのは当然です。

また、マンション管理業者の登録を取り消された者が法人である場合は、役員も連座責任を問われ、2年間は登録できません。

【参考】マンション管理士・マンション管理業者・管理業務主任者の登録の取消と欠格事由の関係


4.管理業務主任者登録簿

管理業務主任者が登録をしますと、管理業務主任者登録簿に登録されます。

その際の登載事項は、施行規則72条に規定されています。

これらの登録簿の登載事項に変更が生じた場合は、「登録事項の変更の届出」(第62条)が必要となります。