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【解説】
1.管理業務主任者の法定数(第1項)
本条は、「成年者である専任の管理業務主任者」の設置義務を定めた規定です。
もともと管理業務主任者は、マンション管理士が完全に個人的な資格であるのに対して、管理業務主任者はマンション管理業者の一員として必要となる資格です。
その事務(仕事)の内容は、管理業務を始める前提となる管理受託契約の締結前に行う重要事項の説明から、受託した管理業務の処理状況のチェック、その報告までを行うマンション管理の重要なマネジメント業務になります。
ここで、管理業務主任者の業務をまとめておきます。
このように管理業務主任者はマンション管理の重要な役割を担うので、マンション管理業者が受託した管理業務を的確に実施するために一定の数の管理業務主任者を確保しようというのが本条の趣旨です。
具体的には、本条第1項と施行規則61条と読み合わせると、「マンション管理業者は、その事務所ごとに、管理事務の委託を受けた管理組合の数を30で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。」ということになります。
法律の条文らしく大変読みにくい文章だと思いますが、内容は簡単です。「マンション管理業者は、その事務所ごとに、管理事務の委託を受けた管理組合数30組合につき1人以上の割合で成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。」ということです。
したがって、委託を受けた管理組合が1つでも、1人の専任の管理業務主任者。管理組合が30でも1人の専任の管理業務主任者。ただ、管理組合が31になると2人の専任の管理業務主任者が必要となります。
この法定数は、「事務所ごと」に考えますので、会社全体として、30組合に1人を満たしていても、たとえばA支店が30組合に1人の要件を満たしていなければ、適正化法違反になります。
また、複合用途型マンションや、団地型マンションで、複数の管理組合が存在する場合は、一部管理組合や各棟管理組合の各管理組合から管理事務の委託を受けているのであれば、それぞれの管理組合は「1組合」としてカウントします。
次に第1項には、但書で例外が規定されています。
これも本条と施行規則62条を読み合わせますと、「人の居住の用に供する独立部分が6以上である区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。」
この文章は、先ほどの文章よりさらに読みにくいと思いますが、人の居住の用に供する独立部分が6以上である管理組合の管理事務を業務と「しない」事務所は、例外だというわけですから、人の居住の用に供する独立部分が「5以下の管理組合」は、考慮に入れなくてよい、という意味です。
「考慮に入れなくてよい」というのは、「5以下の管理組合」のみの委託を受けて行う管理事務をその業務とする事務所については、成年者である専任の管理業務主任者の設置は不要とされるとともに、30組合に1人の計算をする際の管理組合の数からも除かれる、という意味です。
具体例でいうと、委託を受けた管理組合がすべて「5以下の管理組合」なら、成年者である専任の管理業務主任者はゼロでよく、「6以上の管理組合」は30組合、「5以下の管理組合」は2組合という場合、トータルでは32組合だけど、「5以下の管理組合」は考慮に入れず、30組合と考えて、成年者である専任の管理業務主任者は1人でよい、ということになります。
人の居住の用に供する独立部分が5以下の管理組合が除かれているのは、多数の区分所有者が存在し、その管理の実施に当たってこれら多数の区分所有者間の合意形成を必要とする通常のマンションに対し、人の居住の用に供する専有部分が少ないマンションの管理組合は、その管理事務の実施が比較的容易だからです。
2.成年者である専任の管理業務主任者(第1項)
マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合数30組合につき1人以上の割合で成年者である専任の管理業務主任者を置かなければいけませんが、設置する管理業務主任者は、まず、「成年者」でないといけません。
成年者とは、もちろん20歳以上の者のことですが、20歳未満でも、婚姻すれば「成年」とみなされますので(民法753条)、成年者に含めます。
次に、「専任」というのは、簡単にいえば社員のことですが、「専任」という以上、同じマンション管理業者の他の事務所とかけ持ちをすることは認められません。
また、この「専任性」については、国土交通省の通達が出ています。
3.専任の管理業務主任者のみなし規定(第2項)
本条は、マンション管理業者(法人の場合は役員)が、管理業務主任者の資格を有している場合には、その事務所の成年者である専任の管理業務主任者と「みなす」規定です。
「マンション管理業者が管理業務主任者であるとき」というのは、分かりにくいという人もいるかもしれませんが、要するにマンション管理業者を個人でやっている場合のことで、その個人(社長)が管理業務主任者の資格を持っている場合のことです。法人の場合は、役員が管理業務主任者であるということです。
4.法定数の管理業務主任者が欠けた場合(第3項)
専任の管理業務主任者の設置は、マンション管理業者による管理事務の的確な実施を確保するために必要だということで規定されているわけですから、専任の管理業務主任者が法定数に足りない事務所を開設してはいけませんし、既存の事務所が法定数に足りなくなった場合には、「2週間」以内に、第1項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければいけません。
「第1項の規定に適合させるため必要な措置」というのは、新たに専任の管理業務主任者を設置するということです。
マンション管理適正化法56条(管理業務主任者の設置)
1.管理業務主任者の法定数(第1項)
本条は、「成年者である専任の管理業務主任者」の設置義務を定めた規定です。
もともと管理業務主任者は、マンション管理士が完全に個人的な資格であるのに対して、管理業務主任者はマンション管理業者の一員として必要となる資格です。
その事務(仕事)の内容は、管理業務を始める前提となる管理受託契約の締結前に行う重要事項の説明から、受託した管理業務の処理状況のチェック、その報告までを行うマンション管理の重要なマネジメント業務になります。
ここで、管理業務主任者の業務をまとめておきます。
このように管理業務主任者はマンション管理の重要な役割を担うので、マンション管理業者が受託した管理業務を的確に実施するために一定の数の管理業務主任者を確保しようというのが本条の趣旨です。
具体的には、本条第1項と施行規則61条と読み合わせると、「マンション管理業者は、その事務所ごとに、管理事務の委託を受けた管理組合の数を30で除したもの(一未満の端数は切り上げる。)以上の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。」ということになります。
法律の条文らしく大変読みにくい文章だと思いますが、内容は簡単です。「マンション管理業者は、その事務所ごとに、管理事務の委託を受けた管理組合数30組合につき1人以上の割合で成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならない。」ということです。
したがって、委託を受けた管理組合が1つでも、1人の専任の管理業務主任者。管理組合が30でも1人の専任の管理業務主任者。ただ、管理組合が31になると2人の専任の管理業務主任者が必要となります。
この法定数は、「事務所ごと」に考えますので、会社全体として、30組合に1人を満たしていても、たとえばA支店が30組合に1人の要件を満たしていなければ、適正化法違反になります。
また、複合用途型マンションや、団地型マンションで、複数の管理組合が存在する場合は、一部管理組合や各棟管理組合の各管理組合から管理事務の委託を受けているのであれば、それぞれの管理組合は「1組合」としてカウントします。
次に第1項には、但書で例外が規定されています。
これも本条と施行規則62条を読み合わせますと、「人の居住の用に供する独立部分が6以上である区分所有者を構成員に含む管理組合から委託を受けて行う管理事務を、その業務としない事務所については、この限りでない。」
この文章は、先ほどの文章よりさらに読みにくいと思いますが、人の居住の用に供する独立部分が6以上である管理組合の管理事務を業務と「しない」事務所は、例外だというわけですから、人の居住の用に供する独立部分が「5以下の管理組合」は、考慮に入れなくてよい、という意味です。
「考慮に入れなくてよい」というのは、「5以下の管理組合」のみの委託を受けて行う管理事務をその業務とする事務所については、成年者である専任の管理業務主任者の設置は不要とされるとともに、30組合に1人の計算をする際の管理組合の数からも除かれる、という意味です。
具体例でいうと、委託を受けた管理組合がすべて「5以下の管理組合」なら、成年者である専任の管理業務主任者はゼロでよく、「6以上の管理組合」は30組合、「5以下の管理組合」は2組合という場合、トータルでは32組合だけど、「5以下の管理組合」は考慮に入れず、30組合と考えて、成年者である専任の管理業務主任者は1人でよい、ということになります。
人の居住の用に供する独立部分が5以下の管理組合が除かれているのは、多数の区分所有者が存在し、その管理の実施に当たってこれら多数の区分所有者間の合意形成を必要とする通常のマンションに対し、人の居住の用に供する専有部分が少ないマンションの管理組合は、その管理事務の実施が比較的容易だからです。
2.成年者である専任の管理業務主任者(第1項)
マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合数30組合につき1人以上の割合で成年者である専任の管理業務主任者を置かなければいけませんが、設置する管理業務主任者は、まず、「成年者」でないといけません。
成年者とは、もちろん20歳以上の者のことですが、20歳未満でも、婚姻すれば「成年」とみなされますので(民法753条)、成年者に含めます。
次に、「専任」というのは、簡単にいえば社員のことですが、「専任」という以上、同じマンション管理業者の他の事務所とかけ持ちをすることは認められません。
また、この「専任性」については、国土交通省の通達が出ています。
(国総動第309号、平成14年2月28日)
第三 「専任の管理業務主任者」の専任性について
1 法第56条第1項の「専任」とは、原則として、マンション管理業を営む事務所に常勤(マンション管理業者の通常の勤務時間を勤務することをいう。)して、専らマンション管理業に従事する状態をいう。ただし、当該事務所がマンション管理業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的にマンション管理業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものとすること。
2 「専任の管理業務主任者」は、宅地建物取引業法第15条第1項に規定する「専任の宅地建物取引士」を兼務できないこと。ただし、「専任でない管理業務主任者」が「専任の宅地建物取引士」を兼務すること及び「専任の管理業務主任者」が「専任でない宅地建物取引士」を兼務することは差し支えないこと。
また、マンション管理業の事務所が建築士事務所、建設業の営業所等を兼ね、当該事務所における管理業務主任者が建築士法、建設業法等の法令により専任を要する業務に従事しようとする場合、及び個人のマンション管理業者が管理業務主任者となっているマンション管理業の事務所において、当該個人が同一の場所において土地家屋調査士、行政書士等の業務を併せて行おうとする場合等については、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるものを除き、専任の管理業務主任者とは認められないこと。
3.専任の管理業務主任者のみなし規定(第2項)
本条は、マンション管理業者(法人の場合は役員)が、管理業務主任者の資格を有している場合には、その事務所の成年者である専任の管理業務主任者と「みなす」規定です。
「マンション管理業者が管理業務主任者であるとき」というのは、分かりにくいという人もいるかもしれませんが、要するにマンション管理業者を個人でやっている場合のことで、その個人(社長)が管理業務主任者の資格を持っている場合のことです。法人の場合は、役員が管理業務主任者であるということです。
4.法定数の管理業務主任者が欠けた場合(第3項)
専任の管理業務主任者の設置は、マンション管理業者による管理事務の的確な実施を確保するために必要だということで規定されているわけですから、専任の管理業務主任者が法定数に足りない事務所を開設してはいけませんし、既存の事務所が法定数に足りなくなった場合には、「2週間」以内に、第1項の規定に適合させるため必要な措置をとらなければいけません。
「第1項の規定に適合させるため必要な措置」というのは、新たに専任の管理業務主任者を設置するということです。