マンション管理適正化法43条(名称の使用制限)

【解説】

1.マンション管理士の名称の使用制限

本条は、マンション管理士でない者に対する名称使用制限の規定です。

よく似たものに「名称使用停止」(第33条2項)というのがありますが、これは「マンション管理士」に対する監督処分として、その名称の使用を停止するものであるのに対し、この名称使用制限は、マンション管理士「以外」の者に対して、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称の使用を制限するものです。

この名称使用制限の規定は、マンション管理士が名称独占資格であることを意味しています。

この規定により、マンション管理士の登録をしている者だけが、マンション管理士の名称を用いることができるからです。

以前は、「マンション管理士」などと称して、管理組合に損害を与える事例が多発していました。しかし、管理組合に対してアドバイスする業務は、専門的知識を必要とされるので、社会的に認知された資格者が行うことができるように、マンション管理士が名称独占資格としたわけです。

しかし、マンション管理士は「業務独占資格」ではありません。業務独占資格というのは、その資格を有している者だけができる業務というのが定められているものです。普通、資格というのはこの業務独占というのがあるのが普通ですが、マンション管理士には業務独占はありません。

たとえば、マンション管理適正化法でも管理業務主任者は、重要事項の説明などを行いますが、重要事項の説明は「管理業務主任者」の資格を持っている人でなければできません(第72条)。これはマンション管理適正化法に「重要事項の説明は管理業務主任者が行え!」という規定があるからです。

マンション管理士には、これに類する規定がありませんので、業務独占とはいえないわけです。

したがって、マンション管理士の業務は、「管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助」することですが、この援助・アドバイスの業務は、マンション管理士ができるだけでなく、マンション管理士の資格を有していない人でもできます。

しかし、マンション管理士は名称独占資格なので、マンション管理士「以外」の人は、「マンション管理士」の名称でアドバイス業務ができず、「マンション管理士ではないと分かる名称」でアドバイス業務を行わないといけないという意味です。

本条の「マンション管理士又はこれに紛らわしい名称」というのは、個別で判断されるので例をあげるのが難しいのですが、たとえば、「マンション管理ナビゲーター」「マンション管理コンサルタント」が紛らわしくないとして、これらの名称でアドバイス業務を行うことは問題がありません。

それでは、なぜマンション管理士を業務独占資格としなかったのでしょう。それは、マンション管理に関するアドバイス業務は、多種多様な形態が考えられるからです。これにより、マンション管理に関して優秀ななボランティアなどもアドバイスを行うことも可能になります。

もちろん、将来的に「コレコレの業務はマンション管理士が行わなければならない」という規定ができれば、その段階で、マンション管理士も業務独占資格になることになりますが、現在はそのようになっていません。