マンション管理適正化法2条(定義)

【解説】

目次

  1. 定義
  2. マンション(第1号)
  3. マンションの区分所有者等(第2号)
  4. 管理組合(第3号)
  5. 管理者等(第4号)
  6. マンション管理士(第5号)
  7. 管理事務(第6号)
  8. マンション管理業(第7号)
  9. マンション管理業者(第8号)
  10. 管理業務主任者(第9号)

1.定義

第2条は、これも通常の法律でよく見かけるように「定義規定」を置いています。一つ一つ見て行きましょう。

2.マンション(第1号)

まず、「マンション」の定義です。二以上の区分所有者が存する建物ということなので、賃貸マンションは含みません。賃貸マンションは、所有者は一人で、建物を「区分」して「所有」しているわけではありません。

このように規定されたのは管理の適正化を図る必要があるのは、区分所有者間の円滑な合意形成を図り、管理組合を適正に運営していく上で、専門的知識に基づく助言、指導等の援助が必要となるのは、複数の区分所有者が存する建物だからです。

したがって、典型的には分譲マンションということになりますが、「人の居住の用に供する専有部分のあるもの」ということになります。

区分所有法では、区分所有建物はその用途を限定していませんでした。

したがって、オール事務所、オール店舗という区分所有建物も認められていましたが、マンション管理適正化法においては、少なくとも一つは「人の居住の用に供する専有部分」が必要です。

逆に言えば、一つでも居住用の専有部分があれば、その他は事務所・店舗・倉庫でもかまいません。

一つでも居住用の専有部分があれば、管理組合の運営をめぐる問題が生じることは、人の居住の用に供される専有部分が複数ある場合と同じだからです。

ただ、少なくとも「一つ」の居住用の専有部分を要求している点では、区分所有法とマンション(区分所有建物)の定義が異なりますので、注意して下さい。

次に、少しずつ定義がややこしくなるので、上記の図を見ながら読んでもらえればいいと思いますが、「建物」だけでなく、「敷地及び附属施設」も「マンション」になります。

これは、「マンション」という言葉にとらわれると、「敷地」が「マンション」だというのは、変な感じがしますが、この法律の趣旨がマンションの「管理」の適正化を推進するということですから、敷地も「管理」の対象として適正に管理しなければならないからです。

集会所のような附属施設も同様です。

なお、「敷地」には、法定敷地だけでなく、規約敷地も含みます。

次に、マンションの定義の第1号には「イ」だけでなく、「ロ」というのもあります。これは「団地」の場合です。

団地の場合も同様に考えればいいんですが、「イに掲げる建物を含む」となっていますので、団地内の建物のうちの少なくとも一つは、「人の居住の用に供する専有部分のあるもの」でないといけません。

団地には、以下のパターンがあります。
①区分所有建物のみがある場合
②区分所有建物と戸建住宅の両方がある場合
③戸建て住宅のみがある場合

区分所有法の団地においては、オール一戸建てというのも団地として認められていましたが、マンション管理適正化法では、オール一戸建てというのは含まれません。

したがって、区分所有法では、上記①~③すべてを含みますが、マンション管理適正化法では、①と②のみが対象となります(もちろん、マンション管理適正化法では一つの専有部分が居住用であることが必要)。

そして、一つでも「人の居住の用に供する専有部分のある」建物があれば、その土地及び附属施設もマンションに該当します。

ここで、気を付けて欲しいのは、団地内に賃貸マンションや一戸建てがあったとしても、一つでも「人の居住の用に供する専有部分のある」区分所有建物があれば、敷地や附属施設は「マンション」に該当しますが、賃貸マンションや一戸建ての建物自体は、「マンション」に該当しないということです。

3.マンションの区分所有者等(第2号)

マンションの区分所有者等の定義が規定されていますが、ここは「等」という言葉に注意して下さい。

法律では「等」というのは、よく出てきますが、なかなか曲者ですが、ここでは第1号の「マンション」の定義がしっかり覚えられていれば、それほど難しくはないと思います。

「第1号イに掲げる建物の区分所有者並びに同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者」ということになりますが、具体例をあげましょう。

賃貸マンション
分譲マンション(少なくとも一つは居住用の専有部分)
一戸建て

上記の3つの建物が一団地内にあったとします。

まず、「第1号イに掲げる建物の区分所有者」というのがありますので、分譲マンションの区分所有者全員が「マンションの区分所有者等」に該当することは理解できるでしょう。

ただ、それだけではなく「同号ロに掲げる土地及び附属施設の同号ロの所有者」というのもありますので、賃貸マンションの所有者や一戸建ての所有者もマンションの区分所有者「等」に該当します。

念のため、賃貸マンションの場合は、所有者(オーナー)が区分所有者等であって、賃借人は関係ありません。

当然、一戸建て等の所有者も敷地・附属施設を共有して管理している以上、区分所有者等に該当することになるわけです。

4.管理組合(第3号)

この管理組合の定義は、あまり問題はないと思います。

まず、「マンションの管理を行う区分所有法第3条に規定する団体」というのは、普通の法人化していない管理組合のことです。

次に、「マンションの管理を行う区分所有法第65条に規定する団体」というのは、団地管理組合のことです。

最後に、「区分所有法第47条第1項(区分所有法第66条において準用する場合を含む。)に規定する法人」というのは、単棟の区分所有建物又は団地の管理組合が法人化した場合の管理組合法人も含みます。

したがって、管理組合というのは、団地管理組合や管理組合法人も含む、と覚えておけばいいでしょう。

5.管理者等(第4号)

この管理者等の定義も、あまり問題はありません。

「区分所有法第25条第1項(区分所有法第66条において準用する場合を含む。)の規定により選任された管理者」というのは、単棟の区分所有建物の管理組合で選任された管理者又は団地管理組合で選任された管理者のことです。

それだけでなく、「区分所有法第49条第1項(区分所有法第66条において準用する場合を含む。)の規定により置かれた理事」というのは、単棟の区分所有建物の管理組合又は団地管理組合が法人化された場合の管理組合法人の理事のことです。

区分所有法で規定されていますように、管理組合法人が成立しますと、従来の管理組合の管理者はなくなり、新たに理事が区分所有者を代理することになります。

以上、管理組合・団地管理組合の管理者と、管理組合法人の理事が「管理者等」に該当します。

ところで、上記の「区分所有法第25条第1項の規定により選任された管理者」という定義だけを見ると、第1号のマンション以外の区分所有建物の管理者も、形式的にはこの定義に含まれることになってしまいます。区分所有法は建物の用途を問わないので、すべて事務所等の専有部分のみからなり、居住用の専有部分を含まない区分所有建物の管理者もこれに含まれてしまうことになります。

そこで、個別にこれらの管理組合(オール事務所の区分所有建物の管理組合)を除く場合には、「管理組合」の管理者等という表現を使っているようです。

ややこしいですが、そもそも管理組合の定義として、「マンション」の管理を行う団体(又は法人)とされているわけですから、マンション管理適正化法にいう管理組合というのは、「マンション」の管理組合のこと→管理組合の管理者等というのは、マンションの管理組合の管理者等ということにしているわけです。

第72条(重要事項の説明)、第73条(契約成立時の書面)では、そのような表現になっています。

6.マンション管理士(第5号)

マンション管理士の定義ですが、まずは第30条第1項の登録を受けていることが必要です。

試験に合格していても登録を受けていなければ「マンション管理士」とはいえません。

次に、「マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする者」がマンション管理士です。

簡単に言えば、基本的に管理組合の立場(マンション管理業者の立場ではない)に立って、管理組合を援助する者です。

管理組合のメンバーである区分所有者は、一般の人であり、区分所有法等に詳しいわけではないので、その援助が必要なわけです。

また、「業務」とするとされていますが、これは当該行為を反復継続して行うことを意味し、利益を目的とするものであるか否かを問いません。

なお、括弧書きで「他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。」となっていますので、たとえば、弁護士、司法書士、建築士等のように他の法律において、その資格がなければその業務を行うことができないと規制されているものについては、マンション管理士が行うことはできません。

マンション管理士が具体的に行う業務としては、

・規約や使用細則等の建物等の管理又は使用に関する区分所有者相互間のルールの策定及び改定(ペット問題、駐車場問題、ピアノ等の音に関する問題、バルコニーの使用方法など)

・区分所有者間のトラブルへの対処

・外壁の修繕などの長期修繕計画の策定及び見直し

・管理組合の運営(駐車場・集会所の運営、管理費の滞納、議決権の設定など)

・管理費が高い場合の見直し

・修繕積立金の確保

・建物の不具合によるトラブル(雨漏り、水漏れ、外壁落下、専有部分のリフォーム)

・金融機関のペイオフ対策をどうすればよいか、などが考えられます。

7.管理事務(第6号)

この管理事務の定義は、次の第7号の「マンション管理業」や「マンション管理業者」の定義の基本となるものです。

定義自体はシンプルで、「基幹事務を含むもの」ということになります。

したがって、基幹事務の「すべて」を含まなければならず、基幹事務の「一部」を行うだけでは、管理事務にはなりません。

この基幹事務というのは、要するにマンション管理業者が、管理組合から管理の委託を受けて行う業務のコアをなす業務になります。このような業務を行うには、登録を必要とすることにより、業者の資質の確保を図ろうとしています。

そして、この基幹事務の内容は、括弧書きで書かれていて、「管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整」です。

まず、「管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納」ですが、この中で「調定」というのは、あまり一般的な言葉ではありませんが、収入・支出について調査して確定することで、具体的にどれだけの額を徴収するのか、また入金不足分を追徴する、管理費の使途を具体的に確定することなどです。

「出納」というのは、お金の出入りのことです。

次の「マンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整」は、マンションの資産価値に影響を及ぼすため、財産保護の観点から、業務の適正な遂行が必要とされるので、基幹事務とされています。

そして、この維持・修繕に関する事項については、「専有部分」が除かれているという点がポイントです。

専有部分というのは、各区分所有者が行うべきものだからです。

「維持又は修繕」は、具体的には、補修工事、設備の保守点検および大規模修繕などです。

「企画又は実施の調整」というのは、外注の業務、大規模修繕計画の立案の補助などがそれに当たります。

この基幹事務については、通達があって、「この管理事務には、中高層共同住宅標準管理委託契約書(現マンション標準管理委託契約書)第3条 一 事務管理業務、二 管理員業務、三 清掃業務、四 設備管理業務が含まれること」(国総動第51号、H13.7.31)とされています。

以上が基幹事務の内容になりますので、単に管理人を置いて、破損箇所の修繕や保守点検、清掃等の調整のみを行なったり、警備業務を行ったりするだけでは、管理事務に該当しません。

8.マンション管理業(第7号)

マンション管理業の定義は、①管理組合から委託を受けて、②管理事務を行う行為で、③業として行うもの、ということになります。

まず、最初の①「管理組合から委託を受けて」という部分ですが、通常は管理組合の管理者と、マンション管理業者が管理委託契約を締結する形だと思います。

「管理組合」から委託を受けて、ということですので、個々の区分所有者から委託を受けているということではありません。

ところで、マンション管理業者は、管理組合の管理者となることができます。

区分所有法上は、管理者の資格は特に限定されていないので、法人でも、区分所有者以外でもよいからです(区分所有法25条)。

このような場合でも、「管理組合」から委託を受けており、問題はないと考えられます。

マンション管理業者が管理者だからといって、勝手に管理組合を代表して、管理委託契約を締結できるわけではないので、集会などで団体としてなされた意思決定に基づいており、「管理組合から委託」を受けていると考えられるからです。

次の②「管理事務を行う行為」というのは、第6号の「管理事務」を参照して下さい。

最後の③「業として行う」というのは、反復継続して行うことです。この反復継続性については、一つの契約であっても、これに基づく業務の履行の継続性も考慮に入れる必要があるとされます。また、営利を目的とするものである否かを問いません。

最後に注意して欲しいのは、本号の括弧書きです。「マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く」となっています。

具体的には、管理組合による自主管理が一番典型的なものですが、マンション管理業者がマンションの区分所有者等である場合において、区分所有者等としての立場で当該マンションの管理事務を行う場合、一部賃貸、一部分譲のマンションで、賃貸部分の所有者が、そのマンション全体の管理を行っている場合などが、これに該当します。

9.マンション管理業者(第8号)

マンション管理業者の定義は、「登録」を受けてマンション管理業を営む者ということで、「登録」を受けていることが必要だという点がポイントです。

一般に言われるところのマンションの「管理会社」のことです。

登録を受けていない者は、マンション管理業者とは認められないということです。

話は、それだけで非常に簡単ですが、最後に第6号「管理事務」→第7号「マンション管理業」→第8号「マンション管理業者」の流れで話をまとめます。

「管理事務」というのは基幹事務のことで、これを行うだけではマンション管理業にはなりません。

この管理事務を「業として」行うときに「マンション管理業」になります。

管理事務を業として行えば、それはマンション管理業者かというとそうではありません。

「登録」を受けて管理事務を業として行う時に、初めて「マンション管理業者」となるわけです。登録がないのに、勝手にマンション管理業を行うと、それは第53条の「無登録営業」ということで禁止されています。

管理事務+業+登録=マンション管理業者、ということです。

10.管理業務主任者(第9号)

管理業務主任者の定義は、「管理業務主任者証」の交付を受けた者ということになります。

管理業務主任者の試験に合格しただけでは、管理業務主任者ではありません。

管理業務主任者というのは、「登録」というのが必要です。

しかし、試験に合格し、登録をしただけでも、まだ「管理業務主任者」とはいえません。

試験に合格し、登録し、さらに管理業務主任者「証」の交付を受けて初めて「管理業務主任者」と呼ばれます。

したがって、ある人が管理業務主任者かどうかは、簡単に分かります。管理業務主任者証を持っているかどうかです。