土地区画整理法104条(換地処分の効果)
【解説】
1.換地処分の効果(第1項、第2項)
換地処分の効果は、簡単に言えば新しい土地を割り当ててもらうということです。
第1項で「換地は…従前の宅地とみなされる」という意味は、換地については、従前の宅地の所有権(たとえばAさん)が与えられるということです。
Aの立場から言うと、従前の宅地の所有権が換地に移行するということです。
したがって、従前の宅地に付いていた権利も原則として換地に移行します。たとえば、従前の宅地について抵当権を設定していた場合は、換地処分がなされると、新しい換地に抵当権が設定されていることになります。それを表したのが第2項です。
ただ、換地を定めない場合は、従前の宅地の所有権及びその土地に存した権利は消滅してしまいます。
2.地役権(第4項、第5項)
ただ、換地に移行しない権利があります。地役権です。
地役権というのは、「土地の便益」のためにあるのであって、「人の便益」のためにあるのではありません。
したがって、換地処分がなされて所有者が様々に入れ替わっても、元の土地のところに存在し続けるという意味です。
ただ、地役権というのは通行地役権というのが多いかと思いますが、もともと土地の区画整理というのは、道路等を整備したりして、狭い道路や袋地を解消するという目的がありますから、地役権も必要がなくなれば消滅することが多いでしょう。
その場合にも当然地役権も消滅しますが、それを規定したのが第5項です。
3.清算金(第8項)
清算金は、換地処分に伴う不公平を是正する制度ですが、これは換地処分の公告の日の翌日に確定します。
ここのポイントを言えば、換地処分の公告の日の「翌日」に確定するという点です。
この換地処分の効果について、「公告があった日が終了した時」に効果が生じる、と規定されている場合と、この清算金のように換地処分の公告の日の「翌日」に効果が生じるという規定の二つがあります。
これは、引っくり返されて出題される可能性があります。つまり、「公告があった日が終了した時」と「換地処分の公告の日の翌日」をわざと逆にして出題して「誤り」の問題を作るわけですね。
これがやっかいなことに、この2つの言葉が出てくる規定が結構多いので、一つ一つ覚えていくのは大変です。
そこで、一網打尽にすべて覚える方法があります。下図を見て下さい。
要するに、「公告があった日が終了した時」に効果が生じるという条文は、すべて古い権利が消滅するときに使います。
逆に、「換地処分の公告の日の翌日」に効果が生じるという条文は、すべて新しい権利等を取得したり、発生したり、確定したりするときに使います。
したがって、ここの清算金の「確定」も、「換地処分の公告の日の翌日」となっているわけです。
4.保留地(第11項)
次は、保留地の扱いです。これは「施行者が取得」するというのがポイント。
そして、その施行者がその土地を誰かに売却して、その売却代金で事業の費用等に充てるわけです。