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土地区画整理法101条(仮換地の指定等に伴う補償)

【解説】

仮換地の指定があると、従前の宅地に対する使用・収益権は、仮換地に移り、仮換地を使用・収益することができるようになりますが、仮換地の指定がなされた場合についてまとめたのが下図です。

つまり、仮換地が指定されることによって、「従前の宅地」については、使用・収益の停止という効果が生じ、仮換地については使用・収益の開始という効果が生まれるわけです。

そして、この2つの効果は、同時に発生するのが普通です。そうでないとA(従前の宅地の所有者)が困ります。

しかし、仮換地に建物等があるなどの特別の事情があるときには、「仮換地の使用・収益の開始」を「仮換地の指定の効力発生日」と別に定める、つまり後にずらすことができるわけです(99条2項)。

ただ、仮換地の指定の効力は発生しているわけですから、上図の「仮換地=使用・収益の開始」は始まらないが、「従前地=使用・収益の停止」は生じているわけです。

要するに、従前の宅地の所有者(A)は、従前の宅地は使用できないが、仮換地も使用するのを待たされているわけですから、「どちらの土地も使えない」という状態になります。

これはかわいそうなので、損失補償という形でお金で解決しますというのが本条の規定です。