土地区画整理法99条(仮換地の指定の効果)

【解説】

1.仮換地の指定の効果(第1項、第3項)

上図を見て下さい。今、A・B・Cが、それぞれ甲地・乙地・丙地を所有していたとします。この場合、所有権というのは民法で勉強しましたが、「使用・収益・処分」する権利ですから、甲地・乙地・丙地について、それぞれA・B・Cが所有権(使用・収益・処分権)を有しているというのが上図です。

この時に、甲地で道路の拡張工事が必要となったので、甲地の使用・収益を止めて、甲地で工事を行いたいとします。そこで、甲地を「従前の宅地」として、乙地がその「仮換地」に指定され、最終的に丙地が「換地に指定されたとします。その時の権利の状態を示したのが下図です。

甲地をAが所有していれば、Aが甲地について使用・収益・処分の権利を有しています。ところが、甲地で道路の拡張工事をしなければならないという場合は、Aが甲地でそのまま使用・収益されれば道路の拡張工事ができません。

そういう場合に、甲地の代わりに仮換地というのを指定します。たとえばBが所有している乙地を仮換地としたとします。そうすると、Aの甲地に対する使用・収益の権利をストップし、その代わりにAに乙地の使用・収益権を与えます。

したがって、Aは甲地の処分権と、乙地の使用収益権を得ることになります。要するに、使用・収益権だけがずれる形になります。

Aには甲地の処分権が残るというのも注意して下さい。Aは甲地を使用収益することはできませんが、甲地を売却したり、甲地に抵当権を設定することはできますし、その旨の登記もできます。

そして、Aが甲地を売却した場合に、この買主となった者は、当然ですがAの地位を引き継ぎますので、甲地を使用収益するのではなく、仮換地である乙地を使用収益することになります。

逆に言えば、仮換地が指定された後に、乙地を使用したいと思った人(ここではDとします。)は、乙地を購入するのではなく、甲地を購入しなければいけません。乙地を購入しても、乙地を使用収益するのは甲地の所有者だからです。

そして、多くの場合将来の換地予定地を仮換地に指定しますので、甲地の換地として乙地が指定されれば、Dは乙地をそのまま使用し続けることができるわけです。

しかし、多くの場合将来の換地予定地を仮換地に指定しますが、甲地の換地として乙地が指定されるとは限らないでしょう。この場合、乙地の使用収益の継続を希望しているDはどうすべきでしょうか。

これは、AD間の甲地の売買契約に際して、「甲地の換地として乙地が指定されない場合は、売買契約は解除されたものとする。」という解除条件を付けるという方法が考えられます。

これによってDは、甲地の換地として乙地が指定されれば、そのまま乙地を使用し続けることができますし、万が一、甲地の換地として乙地が指定されなかったとしても、この売買契約から解放されることができます。どうしても、乙地の使用を継続したかったら、新たに乙地が換地として指定された者と再度交渉することができます。

以上の理解ができていれば、本条の第1項と第3項が理解できると思います。

ちなみに、ここで「従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者」というのは、上図でいうとAのことです。また、「仮換地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者」というのは、Bのことです。

2.仮換地について使用又は収益を開始することができる日(第2項)

仮換地の指定の効力が発生すると、従前の宅地についての使用収益が停止させられるとともに、その代わりに仮換地について使用収益を開始することができます。

しかし、仮換地に使用又は収益の障害となる物件が存するときその他特別の事情があるときは、「仮換地の指定の効力発生の日」と別に「仮換地について使用又は収益を開始することができる日」を定めることができます。

この場合の対処については、第101条(仮換地の指定等に伴う補償)で詳しく説明します。