区分所有法70条(団地内の建物の一括建替え決議)

【解説】

本条は「団地内の建物の一括建替え決議」の規定ですが、もともと建替えというのは、建物ごとに建替え決議が成立していることが必要でした。したがって、同一敷地内に複数の区分所有建物が存在し、当該敷地を共有している場合でも、各棟が4/5の建替え決議を必要としたわけです。

というのは、土地と建物は別々の不動産と考えられているので、建替え決議は建物単位で行い、他の建物の区分所有者が関与すべきではないと考えられていたからです。

しかし、下図のように複数の低層建物を取り壊し、高層の建物を建築するというように、一括して建物を建て替えることにメリットがある場合、全体としては4/5の賛成があるのに、一つの建物だけ4/5の要件を満たさないというときには、従来は建替えができませんでした。

そこで、一定の要件を満たす団地について、団地管理組合で4/5の賛成があれば、団地全体の建物を一括して建替えることができるようにしたのが本条です。

それでは、団地内の建物の一括建替え決議が成立するための要件を見て行きましょう

①団地内建物の全部が専有部分のある建物であること

もともと「団地」が成立するには、一戸建ての建物を含んでいてもよかったんですが、この一括建替え決議を行うには、すべてが区分所有建物でなければいけません。

②土地が共有

「団地内建物の『敷地』が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合」でなければいけません。

もともと「団地」が成立するには、附属施設が共有でもよかったんですが、一括建替え決議を行うには、土地を共有している場合でないといけません。

③団地規約が定められていること

この要件の部分は条文の引用が多くで分かりにくい表現ですが、「当該団地内建物について規約が定められている」ことが要件とされています。

つまり、各棟の管理が、各棟ごとの規約よって行われているのでなく、団地規約よって団地管理組合の管理のもとにあることが必要だということです。

④敷地の同一性

通常の建替え決議(第62条1項)の場合と同様、再建建物の敷地と元の敷地が一部でも重なっていなければいけませんが、これ以外の制約は特に規定されていません。

⑤団地内建物の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の集会の決議

これは全部の建物のトータルで、4/5以上の賛成が必要だという意味です。

⑥各団地内建物ごとに、区分所有者の3分の2以上の者であって議決権の合計の3分の2以上の議決権を有するものの賛成

全部の建物のトータルで、4/5以上の賛成に加えて、各建物ごとの2/3の賛成が必要です。

これは全部のトータルで4/5の賛成があれば、各建物では2/3の賛成で一括建替え決議ができるように要件が緩和されているということです。

なお、この各建物の2/3の賛成は、別途各棟で集会を開く必要はなく、全体の決議の中の決議の内容として、この要件を満たしていれば十分です。