区分所有法57条(共同の利益に反する行為の停止等の請求)

【解説】

1.共同の利益に反する行為の停止等の請求~総論

義務違反者に対する措置として一番軽いのは、「行為の停止等の請求」です。周りの住民に迷惑をかける人がいる場合、その行為の停止などを求める行為です。

この行為の停止等の請求は、方法としては裁判外で行う場合と、裁判上行う場合があります。

2.行為の停止等の請求の種類

この行為の停止等の請求は、①その行為を停止し、②その行為の結果を除去し、③又はその行為を予防するため必要な措置を執ることができます。

①は分かると思いますが、②の「結果の除去」とは、たとえば違反行為の結果生じた妨害物を撤去するようなこと、③の「予防措置」は、騒音を発する義務違反行為に対して防音設備を設置させるようなことを指します。

3.裁判外の請求(第1項)

この行為の停止等の請求は、「使用禁止の請求」(第58条)、「区分所有権の競売の請求」(第59条)と異なり、「訴えをもって」請求できる旨の文言がありません。

そして、行為の停止等の請求は、本条第1項とは別に、第2項に「訴訟を提起」する場合の規定があります。このことから、裁判外の請求も可能だと考えられます。

裁判外というのは、普通に訴えという形ではなく、共同の利益に反する行為をしている人に対して、義務違反行為をしないように求めに行くわけです。

たとえば、犬の飼育によって周りに迷惑をかけている人に対して、その飼育の禁止を求めるような場合です。

そして、この裁判外の請求は、違反行為者を除く他の区分所有者の全員又は管理組合法人が請求することができます。

なお、この規定によらずに、各区分所有者が、共同の利益に反する行為をした区分所有者に対して、自己の物権や人格権に基づいて個別に請求することもできます。たとえば、マンション1階の上方の外壁(共用部分)に設置された看板について、共有持分権から生ずる物権的請求権に基づいて、その撤去を求めるケースなどです。

4.訴訟による請求

この行為の停止等の請求を裁判で請求することもできますが、その場合には「訴訟を提起するには、集会の決議によらなければならない。」ということになります。

このように区分所有法で黙って「集会の決議」というときは、集会の普通決議、つまり区分所有者及び議決権の「過半数」の賛成が必要だという意味です。

義務違反者に対する措置の中で、「使用禁止の請求」(第58条)や「区分所有権の競売の請求」(第59条)については、集会の決議を行う際に当該義務違反者に対して「弁明の機会」を与えなければならないとされていますが、この行為の停止等の請求については、「弁明の機会」を与えなければならない旨の規定がありませんので、弁明の機会をあたえることは不要です。

これは、「使用禁止の請求」や「区分所有権の競売の請求」は、区分所有権を実質的に奪うものであるのに対して、行為の停止等の請求については、区分所有権を奪うようなものではないからです。

なお、この集会の決議については、義務違反者も議決権を行使できるというのも覚えておい下さい。義務違反者といえども、区分所有者だからということです。

5.請求権者

訴訟上で請求を行う場合には、「他の区分所有者の全員又は管理組合法人」が行うことになりますが、それだけではなく「管理者又は集会において指定された区分所有者は、集会の決議により、他の区分所有者の全員のために、訴訟を提起することができます(第57条3項)。なお、ここでは「集会の決議により」とはっきり書かれているので、規約で訴訟追行権を与えることはできません。

6.占有者

この規定は「占有者」にも準用されていますので、この措置だけは区分所有者と占有者で共通になります。