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区分所有法53条(区分所有者の責任)

【解説】

本条は、管理組合法人の債務に関する区分所有者の責任の規定ですが、そもそも法人化していない通常の管理組合においては、管理者は区分所有者の代理人であり、管理者の行った行為によって債務を負った場合は、区分所有者が共有持分の割合で分割責任を負うことになっています(法29条)。

この理屈は、管理組合が法人格を取得し、同一性を維持している管理組合法人においても、同じはずです。

しかし、その一方で、管理組合法人では、法人自身が権利義務の帰属主体となり、その債務も法人自身が負う形になります。

そこで、本条では、第一次的には管理組合法人が、その財産をもって債務を弁済する義務を負うとしました。したがって、管理組合法人の財産を持って完済したときは、管理組合法人は各区分所有者に対し、その求償はできません。

しかし、管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないとき、又は管理組合法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかったとき(第2項)は、区分所有者が、共用部分の持分割合で、その債務の弁済の責めに任ずるとしました(第1項)。

なお、区分所有者が管理組合法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、区分所有者は弁済の責任を負いません(第3項)。