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区分所有法45条(書面又は電磁的方法による決議)

【解説】

1.総論

本条の「書面又は電磁的方法による決議」というのは、言っている内容は難しくはないんですが、条文の表現は非常に分かりにくくなっています。

これについては、2つの内容を含んでいて、第1項は「この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。」という規定です。

第2項は、「この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。」という規定です。

どう違うのか、分かりにくい表現ですが、まず、この2つは、第39条2項の書面による議決権行使とは異なります。書面による議決権行使は、実際に区分所有者が集まって集会が開かれていますが、出席できない区分所有者だけが書面によって議決権を行使するという話です。

それに対して、この2つの制度は集会自体を開かず、書面又は電磁的方法だけで話をつけようということです。

2.書面又は電磁的方法による決議(第1項)

そして、この2つのうち第1項は、書面又は電磁的方法だけで決議をすることについて「全員の承諾」があるときは、「書面又は電磁的方法による決議をすることができる」ということで、決議自体は過半数(特別決議のときは3/4など)で決めます。

つまり、この方法の「全員の承諾」というのは、書面で賛成・反対を決めようということについての「承諾」で、決議の結果、賛成になるか、反対になるかは分かりません。

この方法は、全員の承諾があれば、規約は不要です。また、決議事項に制限はありません。

3.全員の書面又は電磁的方法による合意(第2項)

これに対して、第2項は「全員」が書面で「賛成」しているときは、集会を開かなくても、賛成で決定しようという意味です。これは「持ち回り決議」などとも呼ばれます。

これは、第1項と異なり、全員が「賛成」していることが前提です。

小規模な区分所有建物で、全員に異議がないことが明らかな場合は、この規定によって時集会を開く手間を省くことができます。

ただ、この規定によっても集会を招集したことになりませんので、毎年一回の定時集会があったことにはなりません。したがって、臨時集会の招集手続を省略するものです。

ちょっと混乱しそうなので、図解しておきます。

4.書面又は電磁的方法による決議の効果等(第3項、第4項)

書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有するとされていますので、「書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第1項及び第2項の電磁的方法が行われる場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録」については、第33条の「規約の保管及び閲覧」の規定(この規定は議事録に準用されていますから、事実上は議事録の保管及び閲覧の規定)が準用されています。