区分所有法17条(共用部分の変更)

【解説】

1.共用部分の重大変更

共用部分の変更は、民法の共有でいうと、共有物の変更にあたります。民法の共有物の変更は、共有者全員の同意が必要ということでした。

ところが、マンションでこれをやると大変なことになります。マンションも大規模なマンションになると、100世帯以上の住民が住んでいます。この全員の同意を得るのは、至難の業というのか、ほとんど不可能に近い作業になります。そこで、区分所有建物の共用部分の変更については、別途規定があります。

まず、この共用部分の変更を、軽微変更と重大変更の2つに分けます。

まず、軽微変更です。この軽微変更とは、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」をいいます。これは、区分所有者及び議決権の過半数の集会の決議で行うことができますが、第18条に規定がありますので、それに譲ります。

そして、重大変更というのは、「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。」と定義されます。この表現は、よく頭が混乱します。二重否定の形の文章ですので、分かりにくくなっています。「その形状又は効用の著しい変更を『伴わないものを除く』。」ということは、「著しい変更を伴う」ということです。したがって、「重大」変更ということになります。

この重大変更は、「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。」と規定されています。この「4分の3」という数字は覚えて下さい。

ただ、この点についても規約で別段の定めができます。第1項但書に、「この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」と規定されています。これは、正確に覚えて下さい。

つまり、「区分所有者及び議決権」のうち、「議決権」(床面積)の4分の3というのは、規約でも変更することはできません。しかし、「区分所有者(の定数)」(頭数)の方は、規約で定めれば、過半数というところまでは、下げることができます。

区分所有法というのは、この「区分所有者及び議決権」というのは、ほとんどセットで使われていて、「区分所有者」と「議決権」というのを分けて扱うというのは、非常に珍しいパターンです。しっかり覚えておいて下さい。

なお、この「その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。」という表現は、区分所有法の平成14年改正で使われ始めたもので、改正前は「改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。」という表現でした。

つまり、「多額の費用」→「形状又は効用」というふうに変更になったわけですが、その違いとしてよく言われるのが、計画修繕として行われる外壁補修工事などです。このような外壁補修工事は「多額の費用」を要しますので、従来の区分所有法では特別決議が必要でしたが、この特別決議というのは考える以上に大変です。

「区分所有者及び議決権の3/4以上の集会の決議」という場合の「区分所有者及び議決権」というのは、「『総』区分所有者及び『総』議決権」という意味であって、「『出席』区分所有者及び『出席』議決権」という意味ではありません。したがって、かなりハードルは高いです。

しかし、外壁補修工事は必要なものなんであって、特別決議がないからといって、マンションを放置していていいというものではないでしょう。

そこで、このような外壁補修工事は集会の普通決議(過半数)の賛成でできるようになったわけです(標準管理規約47条関係コメント参照⑤オ)。

外壁補修工事というのは「多額の費用」はかかるけど、劣化した外壁を元通りに補修するだけでは「形状又は効用」に著しい変更があるとはいえないので「普通決議」というわけです。

2.特別の影響を及ぼすべき区分所有者の承諾

次に、(重大変更で)共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければいけません。

これは、集会の特別決議に加えて、特別の影響を受ける区分所有者の承諾が必要と意味で、いくら集会の特別決議があっても、当該区分所有者の承諾がなければ重大変更はできません。

具体的に「共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきとき」というのは、「その変更工事中、ある専有部分への出入りが不自由になるとか、変更の結果、ある専有部分の採光・通風が悪くなるといった場合」などです。

3.処分行為・共用部分の廃止

上記の共用部分等の重大変更に関連して、直接区分所有法に規定はありませんが、処分行為はどうなるのかです。

民法の共有物の処分については、全員の同意が必要でしたが、区分所有法ではどうなるのかということです。

これは、区分所有法に規定がない以上、民法の原則どおり、区分所有者全員の同意が必要とされています。

たとえば、マンションの敷地の一部を売却するという場合、土地の売却というのは典型的な処分行為ですから、区分所有者全員の同意がないと売却できません。

なお、本条の第17条は共用部分だけでなく、敷地にも準用されています(法21条)。

これに関連して、「共用部分の廃止」というのがあります。

専有部分を共用部分にするのは、規約共用部分ということでしたが、これはその逆のパターンで、法定共用部分→専有部分にして、共用部分を廃止するということです。

これは共用部分の変更にはなりません。共用部分の変更というのは、変更後も共用部分であり続ける場合のことです。

したがって、共用部分の廃止は処分行為であり、法定共用部分を専有部分とするには、区分所有者全員の同意が必要です。

なお、規約共用部分→専有部分にするのは、当該部分を共用部分と定めている規約を廃止すれば、共用部分ではなくなるので、区分所有者及び議決権の3/4以上の集会の決議があればよい。