区分所有法7条(先取特権)

【解説】

1.趣旨

もともと建物の専有部分というのは、共用部分等があって初めて存在し得るものであって、区分所有者は共用部分等を維持管理すべき立場にあるといえます。

したがって、共用部分等の維持管理の費用を負担しない区分所有者がいれば、区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を認めたのが本条です。

2.内容

先取特権は担保物権ですから、債務を履行しない区分所有者がいれば、債権者は区分所有権及び建物に備え付けた動産を競売にかけて優先的に弁済を受ける権利を有します。

その場合の被担保債権は、共用部分等の維持管理の費用ですから、管理費や修繕積立金などになりますが、正確には、「共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」ということになります。

また、管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、先取特権があります。これは、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従いますので(第28条)、職務を行うについて、費用を要するときは費用の前払いを(民法649条)、必要と認められる費用を支出したときは費用の償還(民法650条)を請求することができます。これらの債権は「職務又は業務を行うにつき有する債権」であり、保護する必要があるからです。しかし、管理者が報酬請求権を有している場合の報酬請求権については「職務又は業務を行うにつき有する債権」に該当しないとされていますので、先取特権を行使することはできません。

次に、先取特権の客体、つまり競売の対象は、「区分所有権」と「建物に備え付けた動産」ですが、区分所有権には当然、共用部分に関する権利及び敷地利用権を含みます。

3.優先権の順位及び効力(第2項)

先取特権の順位は、共益費用の先取特権とみなされます。

共益費用の先取特権は、一般の先取特権の一つで、特別の先取特権には劣後しますが、一般の先取特権の中では第一順位となります。