区分所有法6条(区分所有者の権利義務等)

【解説】

1.共同の利益に反する行為の禁止

本条の第1項は、区分所有者に「共同の利益に反する行為」を禁止しています。

これは同じ区分所有建物に住んでいる以上、当然でしょうが、具体的にどのような行為が共同の利益に反する行為となるかですが、これはケース・バイ・ケースで難しいところですが、判例は「共同の利益に反する行為にあたるかどうかは、当該行為の必要性の程度、これによって他の区分所有者が被る不利益の態様、程度の諸事情を比較考量して決すべきものである」(東京高判昭53.2.27)という基準をあげています。

たとえば、共同の利益に関する行為として条文にも挙げられている「建物の保存に有害な行為」で言うと、建物の一部を取り壊して、建物全体の安定性を弱めるような、建物全体に物的侵害を加える行為が共同の利益に反することは問題ありません。

また、「共同の利益」に反する行為ですから、特定の者に対する行為は、これに該当しないでしょう。たとえば、特定の区分所有者の名誉を侵害する文書を配布したりするような場合は、その区分所有者の権利を侵害するものでしょうが、共同の利益に反するとはいえません。

管理費の滞納が、共同の利益に反する行為に該当するかどうかが問題となりますが、管理費の支払義務は、区分所有建物の管理に関する基本的な義務であり、管理費が不足することにより建物の管理に支障が生じることもあるので、共同の利益に反すると考えられます。

この共同の利益に反する行為が行われれば、第7節の義務違反者に対する措置の問題になります。

また、この共同の利益に反する行為の禁止は、第3項で占有者(賃借人など)に準用されています。第7節の義務違反者に対する措置の中で「占有者」に対する措置も規定されています。

2.専有部分及び共用部分の使用請求権

区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができます。

これは民法の所有権の相隣関係のところで勉強したことの区分所有法版のような感じです。専有部分といえども、リフォームなどをするときは、隣室に迷惑をかけることもあるので、そのときの規定です。

この規定は、主語の部分に注意して下さい。あくまでこの使用請求権があるのは「区分所有者」であり、「占有者」には使用請求権はありません。本条第3項は、第1項の規定は占有者に準用していますが、第2項の規定は占有者に準用していません。