建築基準法61条(防火地域内の建築物)
【解説】
1.防火地域・準防火地域
この防火地域・準防火地域というのは、たとえば駅前の商業地等は、建物が建て込んでいます。このような場所で木造の建物が建ち並んでいますと、一旦火災が発生すれば、次々と延焼してしまいます。
そこで、このような密集市街地を防火地域や準防火地域というのに指定して、建物を耐火建築物(鉄筋コンクリート造など)等の火災に強い構造にして延焼を防止しようというのが、この防火地域・準防火地域です。
それでは具体的に、防火地域・準防火地域ではどのような規制があるのかを次に見ていきますが、ここはちょっと建築確認に似ていて、必要な数字を覚えて事例に当てはめていくという作業が必要な個所で、正確な数字の記憶がポイントになります。
2.防火地域
それでは、防火地域の規制を見ていきましょう。ここは数字を確実に覚えることが必要です。
上の表を見ながら以下は読んで下さい。
まず、「3階」「100㎡」をしっかり覚えて下さい。そして、「㎡」は「超える」、「階」は「以上」ということになります。
次に大切なのは、「又は」という部分です。「3階以上又は100㎡超」ということは、3階を超えれば何㎡であっても耐火建築物にする必要があります。また、100㎡を超えれば何階であっても耐火建築物にする必要があります。
そして、「3階以上又は100㎡超」を満たさない場合は、「耐火建築物又は準耐火建築物とする」というのは、言い換えると「準耐火建築物でもよい」という意味です。これはどちらの言葉でも試験で出題されますので、確認しておいて下さい。
以上より、防火地域では通常の木造建築物は建てられないことになります。
3.例外
次に、以上に対する例外が第1~4号にあります。この例外というのは、言い換えると「耐火建築物又は準耐火建築物にしなくてもよい」という意味になります。
① 延べ面積が50平方メートル以内の平家建の附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの
ここは、「50㎡以内」という数字をしっかり覚えて下さい。50㎡以内は耐火建築物又は準耐火建築物にする必要がないということは、50㎡を「超える」場合は、耐火建築物又は準耐火建築物にする必要があるということです。
② 卸売市場の上家又は機械製作工場で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらに類する構造でこれらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供するもの
③ 高さ2メートルを超える門又は塀(へい)で不燃材料で造り、又は覆われたもの
④ 高さ2メートル以下の門又は塀
この③と④はまとめて理解しておいた方がいいでしょう。
この「門又は塀」の扱いは誤解しないで下さい。「高さ2メートルを超える門又は塀で不燃材料で造り、又は覆われたもの」は例外だということは、高さが2mを超える門又は塀は、不燃材料で造り又は覆えば、耐火建築物又は準耐火建築物にしなくてよい、という意味です。
これに対して、「高さが2m以下の門又は塀」は例外で、しかも「不燃材料で造り、又は覆う」という言葉もありませんので、「高さが2m以下の門又は塀」は「耐火建築物又は準耐火建築物」にする必要がないだけでなく、「不燃材料で造り、又は覆う」必要もないということです。つまり、通常の木造むき出しでよいという意味ですよね。