建築基準法53条(建ぺい率)

【解説】

1.建ぺい率

この「建ぺい率」というのは、すでにどのようなものであるかはご存知の方も多いかと思います。建物というのは、敷地いっぱいに建てることはできません。みんなが自分の土地の敷地いっぱいに建物を建てると、採光も悪くなりますし、風通しもよくありません。そして、なによりも火災等が起こったときにすぐに燃え広がってしまいます。

このような採光・通風・延焼防止等の観点から、建物は敷地に対して一定の割合でしか建てることができず、敷地に余裕を持たせて下さい、というのが建ぺい率です。

つまり、以下の数式であらわされるのが建ぺい率です。

ここで、「建築面積」というのは、正確にいうと水平投影面積といって、建物に上から光を当てたときの影になる部分の面積ですが、大雑把にいえば、1階部分の床面積です。

この建ぺい率は、「10分のいくら」という形で決まっています。そして、敷地面積いっぱいに建物を建てたとしても10/10=1ということになり、これ以上大きくはなりません。

そして、この建ぺい率はどのように決まっているかというと、基本的には都市計画で決めます。たとえば、ある地域を第一種住居地域に指定する際に、同時にこの地域の建ぺい率も定めることになります。

したがって、同じ第一種住居地域でも、地域によって建ぺい率はまちまちになります。

試験のときには、計算問題などで、当然この建ぺい率が問題になる場合もありますが、そのときは試験の問題文に「この地域の建ぺい率は6/10である」というような記載があるので心配する必要はありません。

ただ、商業地域の8/10というのは、これ一本に決まっていますので、これは覚えて下さい。つまり、商業地域の建ぺい率は都市計画で決まるのではなく、建築基準法という法律で決まっています。

2.建ぺい率~複数の区域にわたる場合

本条項は、一つの敷地が複数の用途地域にまたがる場合の建ぺい率の出し方について規定したものです。

用途地域を定めたとき、一つの土地が複数の用途地域にまたがってしまった場合です。

建ぺい率については、過半主義ではなく、加重平均主義という方法がとられます。つまり、それぞれの用途地域の部分の割合で建ぺい率を算出することになります。

3.防耐加算(第3項1号)

本項は、建ぺい率の緩和措置について規定したものです。

その一つ目が、第1号の俗に「防耐加算」といわれるものです。

「建ぺい率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物」については、「定められた建ぺい率の数値に10分の1」を加えることができます。

建ぺい率には延焼防止という趣旨があるわけですから、耐火建築物については、建ぺい率を緩和しましょう、ということです。

「建ぺい率の限度が10分の8とされている地域外」というのは気を付けて下さい。というのは、「建ぺい率の限度が10分の8とされている地域内」で防火地域内の耐火建築物というのは、後で説明しますが、1/10の加算ではなく、建ぺい率の制限自体がなくなります。

次に、この「防火地域」の「耐火建築物」というのは正確に覚えて下さい。準防火地域内ではダメです。また防火地域内でも準耐火建築物ならダメです。書いてある通りに、防火地域内の耐火建築物のみ建ぺい率が加算されます。

4.角地加算(第3項2号)

その二つ目が、第2号の俗に「角地加算」といわれているものです。

「街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物」については、「定められた建ぺい率の数値に10分の1」を加えることができます。

たとえば、建ぺい率が6/10と定められている地域で、この角地加算がなされると、7/10になるわけです。

角地の場合は、採光、通風、延焼防止という観点からはそのおそれが少ないからです。

この角地加算がなされるには、特定行政庁の指定が必要だというのも頭に入れておいて下さい。角地なら何でもいいというわけではありません。試験などで、問題文に「問題文に記載されていない条件は考慮しないものとする」というような記載があって、特定行政庁の指定が書かれていない場合は、角地加算はできません。

5.「角地加算」と「防耐加算」の両方の要件を満たす場合

それでは、この「角地加算」と「防耐加算」の両方の要件を満たす場合は、どうなるでしょうか?つまり、「建ぺい率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物を、特定行政庁の指定する角地」に建築する場合です。

これは両方の要件を満たしている以上、単純にそれぞれ1/10ずつ建ぺい率を加算して、結局2/10が加算されます。

6.建ぺい率の緩和措置~壁面線の指定がある場合

建築基準法46条で壁面線が指定された場合には、それに伴って第47条で壁面線による建築制限がありますが、この制限を守っている建築物等については、建ぺい率が緩和されます。

7.建ぺい率の制限がない場合

今度は、建ぺい率の「緩和」ではなく、建ぺい率の制限のないものです。

建ぺい率の適用がないということは、建ぺい率は10/10ということです。要するに、建物の建築面積が建ぺい率という観点からは制限されないということです。実際には、隣地との境界線との間に一定の間隔を空けないといけないというような制限があって、常に敷地いっぱいに建物が建てられるとは限りませんが、建ぺい率という観点から制限されることはないという意味です。

これは3つ規定されています。

① 建ぺい率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物

この「建ぺい率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物」というのは、第3項1号の防耐加算を行えば、8/10+1/10=9/10となりますが、そうではなく、建ぺい率の制限がない、つまり10/10になるということになります。

先ほどの防耐加算との関係を含めてまとめておきましょう。

② 巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの

これはそのまま覚えておけばいいでしょう。

③ 公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの

これもそれほど難しくはありません。ただ、特定行政庁の許可が必要であるという点は気を付けて下さい。

8.建ぺい率の計算1

建ぺい率は計算問題がありますので、それに対する対処方法を説明しておきましょう。

これは事例の形で、計算方法を簡単な問題から難しい問題へ順を追って説明します。

この問題は非常に簡単です。問題文に書かれた条件だけで単純に[建築面積=敷地面積×建ぺい率]で出すことができます。

敷地面積は10m×30m=300㎡
建ぺい率は6/10なので、
建築面積の限度は、

9.建ぺい率の計算2

次の問題です。

この問題も簡単です。ただ、問題文に書かれた数字だけでなく、角地加算と防耐加算を自分で行って建ぺい率を出し、建築面積の最高限度を出します。

この敷地に耐火建築物を建てる場合
敷地面積は10m×30m=300㎡
建ぺい率は、都市計画で6/10と指定されているが、特定行政庁指定の角地であり、防火地域内の耐火建築物であるからそれぞれ1/10ずつが加算され、

したがって、建築面積の限度は、

10.建ぺい率の計算3

試験などではこのレベルくらいが出題されることが多くなります。

一つの土地が複数の用途地域にわたる場合は、加重平均主義が取られます。

この加重平均主義を正式な条文で定めた算出で出しますと、かなり計算がややこしくなります。そこで、簡単に出せる早算法というのがオススメです。

この土地は、たまたま行政の都合で2つの用途地域にまたがっているだけで、本来一つの土地ですが、頭の中で土地を2つに分けて考えて下さい。そして、この2つの土地で別々に建築面積を出します。

①第一種住居地域

敷地面積 10m×15m=150㎡

②近隣商業地域

敷地面積 10m×15m=150㎡

①+②

敷地面積=150㎡+150㎡=300㎡
建築面積=105㎡+135㎡=240㎡

上の数式を見れば分かりますが、①の第一種住居地域と、②の近隣商業地域を分けて建築面積を算出しています。そして、最後にこの別々に出した建築面積を足し合わせます。

試験の問題で「建築面積の最高限度はいくらか?」という問題の場合は、これで終わりです。

ただ、試験の問題では、「建ぺい率の最高限度はいくらか?」という問われ方もしますので、この場合はもうひと手間かかって、建築面積から建ぺい率を出していきます。

この事例については、よく質問されるというのか、みなさんが間違えやすい問題で角地の問題があります。①の第一種住居地域が角地加算がなされるという点は問題がないんですが、②の近隣商業地域は角地ではないのではないか、と考えられる方がおられます。

しかし、この土地は本来一つの土地ですから、②の近隣商業地域も角地と考えて、問題文に書かれている建ぺい率に1/10を足して下さい。