建築基準法8条(維持保全)

【解説】

1.建築物の所有者等の努力義務(第1項)

建築物は、建築時には建築確認の制度により、事前に建築主事の確認を受け、中間検査・完了検査によって、その建築物が適法な状態であることは確認されています。

しかし、その後の維持保全が不十分であると建築物の適法な状態が維持されない可能性があります。

そこで、建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努力義務を課しています。

なお、本項の対象は「建築物」となっていますので、第2項のように特殊建築物等に限定されているわけではありません。

ただ、抽象的な努力義務ですから、この規定に違反したからといって、何らかの法的効果が生じるというわけではありません。ただ、努力義務を怠った結果、建築基準法の規定に違反するようになれば、その規定の違反として第9条(違反建築物に対する措置)の適用を受けることになります。

2.特殊建築物等の維持保全(第2項)

特殊建築物等は、適正な維持保全の必要性が高いので、建築物の維持保全のための準則又は計画を作成したり、国土交通大臣はそれに必要な指針を定めることができる旨を規定しています。

この準則等の作成が必要な建築物は、「第12条第1項に規定する建築物」です。第12条1項を見ると「第6条第1項第1号に掲げる建築物その他政令で定める建築物(国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物を除く。)で特定行政庁が指定するもの」となっています。

まず、第6条第1項第1号は建築確認の規定で、特殊建築物で100㎡を超えるものです。

次に、「政令で定める建築物」は建築基準法施行令16条で令14条の2に規定する建築物とされていますが、令14条の2によれば、事務所その他これに類する用途に供する建築物で、階数が5以上である建築物で延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物となっています。

次に、準則等を作成するのは、「所有者又は管理者」です。

そして、この準則等は「必要に応じて」作成することになります。その判断は所有者・管理者が行うことになります。

なお、準則や計画は、複数の建築物が一団地を形成している場合は、当該一団地について作成することができます。

最後に、国土交通大臣の指針は昭和60年3月19日建設省告示第606号(建築基準法第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針)で定められています。

その指針によると、計画に定めるべき事項とされているのは、以下のものである。
一 建築物の利用計画
二 維持保全の実施体制
三 維持保全の責任範囲
四 占有者に対する指導等
五 点検
六 修繕
七 図書の作成、保管等
八 資金計画
九 計画の変更
十 その他