被災マンション法6条(敷地共有持分等に係る土地等の分割請求に関する特例)

【解説】

1.敷地共有持分等に係る土地等の分割請求に関する特例

建物が全部滅失した場合、区分所有者も管理組合も存在しえなくなり、元区分所有者の共有敷地のみ残り、区分所有法の適用の余地がなくなり、民法が適用されることになる。
民法によると、共有者はいつでも共有物の分割請求をすることができることになるが(民法256条1項)、それでは再建決議や敷地売却決議が事実上不可能になってしまう。

そこで、「政令の施行の日」から起算して1月を経過する日の翌日以後当該「施行の日」から起算して3年を経過する日までの間の分割請求を禁止したのが本条である。
第2条により、政令施行の日から3年間は敷地共有者等集会の開催が可能だからです。

ただ、例外的に政令施行の日から3年を経過する日までの間であっても分割請求が認められる場合が2つあります。

①5分の1を超える議決権を有する敷地共有者等が分割の請求をする場合

これは趣旨はよく分かると思います。5分の1を超える議決権を有する敷地共有者等が分割請求をするということは、敷地共有者等の議決権の5分の4以上の多数で再建決議をすることができないことがはっきりしているからです。

②その他再建決議、敷地売却決議又は第18条第1項の決議(団地内の建物が滅失した場合における一括建替え等決議)をすることができないと認められる顕著な事由がある場合

これは抽象的には理解できるでしょうが、具体例が分かりにくいと思いますが、たとえば、土地区画整理事業や市街地再開発事業等の都市計画が決定されて、その敷地に再建できないことが確定しているような場合です。

2.区分所有建物の一部滅失の場合(第2項)

区分所有建物の全部滅失ではなく、一部が滅失した場合において、取壊し決議(第11条1項)又は区分所有者全員の同意に基づき取り壊されたときにも、政令施行の日から起算して3年を経過する日までの間の分割請求を禁止しています(第2項)。

なお、区分所有建物の全部滅失の場合の分割請求の禁止は、「政令施行日から起算して1月を経過する日の翌日以後当該施行日から起算して3年を経過する日までの間」となっており、第2項の区分所有建物の一部滅失の場合の「政令施行日から起算して3年を経過する日までの間」と最初の1月の猶予期間を置くかどうかについて違いが生じています。
これは、区分所有建物の全部滅失の場合については、もともと共有物の分割請求が、共有者の基本的な権利なので、最初に1月の猶予期間を設け、この間に敷地共有者等に対して共有関係からの離脱のチャンスを認めるためです。ただ、一部滅失の場合に取壊し決議等を行った場合は、取壊し後の建替えや敷地の売却を見通した上で建物を取り壊すので、共有関係からの離脱のチャンスを与える必要はないからです。