再建決議等

【解説】

1.再建決議(第1項)

本条は、建物が全部滅失しているので、区分所有権なし→区分所有者なし→管理組合なし→建替え決議なし、という流れで、本来、土地の上に建物を建てるのは、土地の変更行為になるので、全員の合意が必要(民法251条)となるところを、敷地共有者等集会において、敷地共有者等の議決権の5分の4以上の多数で再建決議ができるようにした、という規定です。

再建の内容としては、区分所有法62条の建替え決議と同様で、再建する建物は従来の建物と使用目的の同一性というのは要求されていません。

また、敷地の同一性については、「滅失した区分所有建物に係る建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地」という分かりにくい表現になっていますが、従来の土地と再建する土地が一部でも重なっていれば再建できるようになっていますが、これも区分所有法62条の建替え決議と同様です。

なお、敷地共有者等集会の決議ですが、この再建決議は「敷地共有者等の議決権の5分の4以上の多数」が必要ですが、それ以外の議長の選出や議事録の保管者を定める決議等は、通常の過半数で決します。

また、この再建決議は、決議時の敷地共有者等によって行われますので、決議前に第三者が敷地共有持分等の一部を譲り受けた場合には、譲受人が決議に参加します。決議の後に譲渡があった場合は、譲受人はその再建決議に拘束されることになります。

そして、第2条によって、敷地共有者等集会を開き、管理者を置くことができるのは、「政令の施行の日から起算して3年が経過する日まで」と限定されていますので、再建決議はこの期間内に行わなければいけないことになります。

したがって、この期間を過ぎてからの再建決議は無効となり、再建には区分所有者全員の同意が必要となります。

このように「政令の施行の日から起算して3年」と制限しているのは、建物の再建を容易にするためとはいえ、再建決議がいつまでもなされないとすれば、敷地共有者等の地位が不安定なままとなるからです。

ところで、滅失した区分所有建物の専有部分に賃借人がいた場合はどうなるでしょうか。

賃貸借の目的物の全部滅失は、賃貸借契約の終了事由です。したがって、全部滅失の時点で賃貸借は終了し、建物が再建されたとしても、旧建物の賃借人は再建建物の借家権が保障されているわけではありません。

ただ、「大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法」という法律で、従前の賃貸人が、政令の施行の日から3年を経過する日までの間にその建物について賃貸借契約の締結の勧誘をしようとするときは、従前の賃貸人は、従来の賃借人に対し、その旨を通知することになっています。

参考までに条文を紹介しておきましょう。

(従前の賃借人に対する通知)
第8条 特定大規模災害により賃借権の目的である建物(以下この条において「旧建物」という。)が滅失した場合において、旧建物の滅失の当時における旧建物の賃貸人(以下この条において「従前の賃貸人」という。)が旧建物の敷地であった土地の上に当該滅失の直前の用途と同一の用途に供される建物を新たに築造し、又は築造しようとする場合であって、第2条第1項の政令の施行の日から起算して3年を経過する日までの間にその建物について賃貸借契約の締結の勧誘をしようとするときは、従前の賃貸人は、当該滅失の当時旧建物を自ら使用していた賃借人(転借人を含み、一時使用のための賃借をしていた者を除く。)のうち知れている者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。

なお、改正前の旧被災マンション法でも再建決議をすることができましたが、旧法では集会の招集は、議決権の5分の1以上を有する敷地共有者等が行うことになっていましたが、改正法では敷地共有者等集会において管理者が選任されている場合は、管理者が招集することになります(第3条1項が準用する区分所有法34条1項)。

また、旧被災マンション法では、集会の招集通知は集会の日の1週間前までにすれば足り、説明会も不要でしたが、現行区分所有法に合わせて、集会の招集通知は2月前までに行い、説明会も必要です(第4~6項)。

2.再建決議で定める事項(第2項)

再建決議で定める事項は、基本的に区分所有法の建替え決議で規定されているものと同じです。

念のため、区分所有法の規定は以下のものです。

一 新たに建築する建物(以下この項において「再建建物」という。)の設計の概要
二 建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額
三 前号に規定する費用の分担に関する事項
四 再建建物の区分所有権の帰属に関する事項

少し気を付けなければいけないのは、第2号で、再建決議においては、建替え決議と異なり、すでに建物が滅失していますので、「建物の取壊し」に要する費用の概算額というのが、不要だという点くらいです。

3.区分所有法の規定の準用(第9項)

この再建決議についても、区分所有法の建替え決議の規定の準用があります。

当然、準用にあたっての読み替えもありますので、まとめてみましょう。

準用される条文は黒字で、準用されない条文は薄いグレー表示で、読み替え部分は赤字で記載しています。

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(区分所有権等の売渡し請求等)
第63条 再建決議があつたときは、集会を招集した者は、遅滞なく、再建決議に賛成しなかつた敷地共有者等(その承継人を含む。)に対し、再建決議の内容により再建に参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。
2 前項に規定する敷地共有者等は、同項の規定による催告を受けた日から2月以内に回答しなければならない。
3 前項の期間内に回答しなかつた第1項に規定する敷地共有者等は、再建に参加しない旨を回答したものとみなす。
4 第2項の期間が経過したときは、再建決議に賛成した各敷地共有者等若しくは再建決議の内容により再建に参加する旨を回答した各敷地共有者等(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により敷地共有持分等を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は、同項の期間の満了の日から2月以内に、再建に参加しない旨を回答した敷地共有者等(その承継人を含む。)に対し、敷地共有持分等を時価で売り渡すべきことを請求することができる。建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含む。)の敷地利用権についても、同様とする。
5 前項の規定による請求があつた場合において、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者が建物の明渡しによりその生活上著しい困難を生ずるおそれがあり、かつ、建替え決議の遂行に甚だしい影響を及ぼさないものと認めるべき顕著な事由があるときは、裁判所は、その者の請求により、代金の支払又は提供の日から1年を超えない範囲内において、建物の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。

6 再建決議の日から2年以内に建物の再建の工事に着手しない場合には、第4項の規定により敷地共有持分等を売り渡した者は、この期間の満了の日から6月以内に、買主が支払つた代金に相当する金銭をその敷地共有持分等を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。ただし、建物の再建の工事に着手しなかつたことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。
7 前項本文の規定は、同項ただし書に規定する場合において、建物の再建の工事の着手を妨げる理由がなくなつた日から6月以内にその着手をしないときに準用する。この場合において、同項本文中「この期間の満了の日から6月以内に」とあるのは、「建物の再建の工事の着手を妨げる理由がなくなつたことを知つた日から6月又はその理由がなくなつた日から2年のいずれか早い時期までに」と読み替えるものとする。

(再建に関する合意)
第64条 再建の決議に賛成した各敷地共有者等再建決議の内容により再建に参加する旨を回答した各敷地共有者等及び敷地共有持分等を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、再建決議の内容により再建を行う旨の合意をしたものとみなす。

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