不動産登記法119条(登記事項証明書の交付等)

【解説】

1.登記事項証明書の交付(第1項)

(1)本項は、登記事項証明書の交付について定めていますが、登記事項証明書というのは「登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面」ということになります。以前は、「謄本(あるいは抄本)」といっていたものです。

現在は、登記記録というのは、全部コンピューターに入っていますので、そのコンピューターに入っているデータをプリントアウトしたもの、ということになります。

なお、現在はいくらコンピューター化されたからといって、登記記録を電磁的記録(つまりデータの形)で交付してくれるということはありません。あくまでも、「書面」の形で交付されます。

そして、この登記事項証明書は、「何人も」交付を請求することができます。つまり、交付の請求をするのに利害関係を有している必要はありません。

(2)登記事項証明書の種類(不動産登記規則196条)

登記事項証明書には、以下の種類があります。

①全部事項証明書…登記記録(閉鎖登記記録を除く。以下この項において同じ。)に記録されている事項の全部

②現在事項証明書…登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの

③何区何番事項証明書…権利部の相当区に記録されている事項のうち請求に係る部分

④所有者証明書…登記記録に記録されている現在の所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所

⑤一棟建物全部事項証明書…一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項の全部

⑥一棟建物現在事項証明書…一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの

(3)登記事項証明書の交付方法

①これは普通には、登記所に行って、交付を請求した上で交付を受けます。

②また、登記事項証明書の交付は、請求人の申出により、送付の方法によりすることができます(不動産登記規則197条6項)。「送付の方法」というのは、要するに郵送によって交付を受けるということです。

③現在は、インターネットで交付を請求することができます。つまり、「送付の方法による登記事項証明書の交付の請求は、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる」(不動産登記規則194条3項)ということです。意味は分かりますでしょうか。この場合は、インターネットで登記事項証明書を請求して、紙の登記事項証明書が郵送されてくるという意味です。

2.登記事項要約書の交付(第2項)

本項の「登記記録に記録されている事項の概要を記載した書面」というのは、いわゆる登記事項要約書のことです。

この登記事項要約書ですが、これは従来の閲覧に代わるものです。この理解があれば、本項の規定の意味が分かりやすいと思います。

従来の紙の登記簿のときは、登記簿謄本(登記簿のコピーのこと)の交付と、登記簿の閲覧(バインダーに綴じた紙の登記簿を見ること)の二つの制度があったわけですが、登記簿謄本の交付は、第1項の登記事項証明書の交付に変わりました。

しかし、登記簿が登記記録になりコンピューター化されたので、登記記録を直接「閲覧」することはできません。そこで、それに代わるものとして登記事項要約書の交付の制度ができたわけです。

従来の登記簿の閲覧の代わりに、登記事項のなかで所有者等の「登記記録に記録されている事項の概要」をプリントアウトして交付するわけです。

そこで、この第2項を見ますと、まず「何人も」交付請求できるという言葉から分かりますように、登記事項要約書の交付には、利害関係を有している必要はありません。

以前の「閲覧」制度のときは、法律上は利害関係が要求されていました。これは、閲覧の場合は登記簿の原本を見るので、一度に多くの人から閲覧請求があれば困るということのようだったんですが、現在はプリントアウトしたものを渡すだけなので、利害関係は要求されていません。

そして、登記事項要約書は、登記事項証明書と異なり、郵送による交付請求をすることはできません。これは、閲覧に変わるものだということから理解できるでしょう。

3.手数料の納付方法(第4項)

登記事項証明書も登記事項要約書も、手数料を納付しなければいけませんが、手数料の納付は収入印紙で行うことになっています。

以前は、「登記印紙」で行うことになっていましたが、現在は収入印紙です。