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不動産登記法74条(所有権の保存の登記)

【解説】

1.所有権保存登記

権利の登記は、甲区と乙区に分かれますが、甲区の最初になされるのが所有権保存登記です。

土地というのは、昔からあるので、あまりこの登記をすることはないんですが、建物などは新築します。その一番最初の所有者を示すのが、この保存登記です。つまり権利の出発点を表すわけですね。そして、必ず甲区の一番最初は、この保存登記になります。

よく表示登記と保存登記の区別が分からないという人がいますが、表示の登記は不動産を特定する登記ですが、保存登記というのは権利の登記です。権利の登記なので、申請義務はなく、本人に申請が任されています。

そして、表題部の記載事項として、所有者が記載されますが、本来所有者というのは、権利の登記で書くべきことです。したがって、保存登記がなされますと、この表題部に記載されている所有者の欄は抹消されます。最近は登記簿もコンピューターになりましたので、コンピューターの登記では抹消は下線を引いて表しますので、表題部の所有者欄には下線が引かれて抹消されるわけです。

そして、いったんこの保存登記がなされますと、「表題部所有者又はその持分についての変更は、当該不動産について所有権の保存の登記をした後において、その所有権の移転の登記の手続をするのでなければ、登記することができない。」(32条)ということになります。つまり、保存登記が一旦なされますと、表題部所有者欄は抹消されますので、所有者の変更は、甲区欄で、所有権移転登記手続で行うことになります。

次に、この抹消される表題部の所有者名と保存登記がなされる所有者名は同じでないといけないのが原則です。

つまり、建物を建てた人が表題部の所有者ですし、同時にその人が最初の所有者なわけですから、保存登記をするわけですね。

建物を建てた最初の所有者がAだとすると、
表題部の所有者:A = 保存登記:A名義
というわけです。

Aが建物を建てた後、Bにこの建物を売却したとします。そして、Aが保存登記をしないからといって、BがB名義で保存登記をすることはできません。

表題部の所有者:A = 保存登記:B名義
というのは原則として認められていないんですね。

2.所有権保存登記の申請者

ただ、これには例外があります。不動産登記法に、保存登記ができる者に関する条文が本条です。

①表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人

表題部所有者は、原則通りの話です。また、相続人も保存登記を申請することができます。相続の場合は、表題部所有者が死亡しているわけですから、仕方がありません。したがって、相続人は相続を証する書面を添付して保存登記を申請できます。

②所有権を有することが確定判決によって確認された者

この確定判決を得た者も保存登記を申請できます。

③収用によって所有権を取得した者

土地収用法等によって、国等が土地を収用した場合に、国等が保存登記をするということです。

④区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者

これは、マンションの分譲業者は、最初に全部の専有部分について表示登記を申請する義務を負わされています。したがって、表題部所有者は、マンションの分譲業者です。その分譲業者からマンションを購入した者は、いったん分譲業者の保存登記を経ることなく、いきなり自分名義で保存登記ができるという意味です。