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不動産登記法69条(死亡又は解散による登記の抹消)

【解説】

本条は、権利が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨が登記されている場合に、登記権利者が、単独で当該権利の登記の抹消を申請することができる旨を規定しています。

もともと、共同申請主義がとられているのは、登記の真正を担保するためです。人の死亡等による場合は、戸籍謄本等によって死亡の事実が容易に証明できるので、登記の真正を害されるおそれがないからです。なお本条は、相続の場合ではありません。

そこで、この規定は具体例が分かりにくいと思いますが、「権利が人の死亡によって消滅する場合」の典型例は、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に規定されている終身建物賃貸借です。

この終身建物賃貸借は、一定の認定を受けた賃貸事業について、高齢者が死亡するまで終身にわたり居住することができるもので、死亡時に契約が終了し、建物の賃借権が相続されない一代限りの賃貸借契約です。

普通は賃借権も相続の対象となりますが、相続されずに、高齢者の死亡によって消滅するわけです。

また、法人が解散した場合に権利が消滅する場合も同様です。

本条によって単独で登記を抹消するには、権利が人の死亡又は法人の解散によって消滅する旨の定めが「登記されている」ことが必要です。