不動産登記法46条(敷地権である旨の登記)

【解説】

区分所有法で、区分所有建物を所有するための敷地利用権について、専有部分と分離して処分できないのが原則です。

ただ、例外的に規約で定めれば、分離処分することができます。つまり、敷地利用権というのは、専有部分と分離処分できる敷地利用権と、分離処分できない敷地利用権があるわけです。

このうち、不動産登記法上、専有部分と分離処分できない敷地利用権(つまり原則形態)のことを特に「敷地権」と呼んでいます。不動産登記法上の用語です。不動産登記法で「敷地権」といわれているものは、専有部分と分離処分ができないものです。

ところで、この敷地権ですが、この敷地権の登記記録というものを一度みなさん、想像してみて下さい。

今、たとえば大きなマンションで100世帯住んでいるマンションがあったとします。建物の登記記録は最初に説明した通りに、マンション全体で一登記記録といえども、専有部分ごとに分かれているので、建物の登記記録を調べる人は目的の専有部分の登記記録の部分だけ見れば、簡単に分かります。

ところが、土地の登記記録は一つしかありません。つまり専有部分ごとに分かれているということはないんですね。敷地利用権が所有権だとした場合、土地の登記記録の所有者欄は、100世帯の共有になります。そして、この共有持分というのは必ず登記記録に記載されます。したがって、原則的には専有部分の床面積ごとに共有持分が異なりますので、非常にややこしい登記記録になります。

さらに、専有部分というのは各自が勝手に売買したりします。専有部分の一つが売却されると、その人の土地の共有持分は、それに伴って買主に移転します。さらにマンションの専有部分に抵当権を設定する人なども現れます。そのときは、分離処分が禁止されているので、土地の共有持分にも抵当権が設定される形になります。理解できますよね。

まとめると、区分所有建物の登記記録は専有部分ごとに分かれているので見やすいけれども、その敷地の登記記録は専有部分ごとに分かれていないので、すべて一つの登記記録に詰め込まれるので、ゴチャゴチャして見にくい。

しかし、よく考えてみると、「敷地権」の場合、専有部分と敷地利用権は分離処分が禁止されているわけですから、専有部分の所有者=土地の共有者です。わざわざ、それを土地の登記記録に記録して、見にくい土地の登記記録を作る必要はありません。

土地の権利関係を知りたい人は、見やすい方の建物の登記記録を見れば、専有部分の所有者が土地の共有者であり、専有部分に抵当権が設定されていれば、その人の土地の共有持分にも抵当権が設定されているはずです。それならば、土地の登記記録の記載は止めて、建物の登記記録で土地の権利関係を表すようにすれば済む話です。土地の登記記録を、建物の登記記録へ一体化させるわけです。

そして、登記の登記記録を建物の登記記録に一体化させた場合、建物の登記記録を調べた人に対しても、土地の登記記録を調べた人にも、このマンションは建物と土地の登記記録が一体化されていますということが登記記録上も分かるようにしておかないといけません。

そのために、専有部分については、その表題部に「敷地権の表示の登記」というのがなされます。これは建物のすべての専有部分の表題部に記載がなされます。

そして、土地の登記記録の方には、この「敷地権の表示の登記」がなされたときに、登記官が職権で「敷地権たる旨の登記」というのを土地の登記記録の相当区事項欄に記載します。この相当区事項欄とは、敷地利用権が所有権のときは甲区、地上権や賃借権の場合は乙区、という意味です。

そして、敷地権である旨の登記をした土地の登記記録は、建物の登記記録と一体化されたわけですから、それ以後は基本的に土地の登記記録には新しい登記をしません。建物の登記記録で代用するわけですよね。

一つ注意してほしいのは、土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じた仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記については、登記をします。これは登記原因が敷地権の登記の前に生じている以上、やむを得ません。

以上、建物の専有部分は「表題部」に敷地権の表示の登記がなされ、土地は「相当区事項欄」に敷地権たる旨の登記がなされるというのは、しっかり覚えておいて下さい。

これで、土地の登記記録を調べた人は、「敷地権たる旨の登記」があるので、「ああ、この土地は建物の登記記録を調べないといけないな。」ということが分かります。

逆に、建物の登記記録を調べた人は、「敷地権の表示の登記」があるので、土地の登記記録に、専有部分の所有者のことが何も出てきていなくても、「この人は土地にも権利を持っているな。」ということが分かるわけです。