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不動産登記法21条(登記識別情報の通知)

【解説】

登記申請には、登記識別情報というのも提供しないといけません。この登記識別情報というのは、従来は登記済証、もっと一般的な言葉で言うと権利証のことです。

これも、登記が書面での申請からオンライン申請も使われるようになって、書面を使うことができなくなりました。

そこで、登記識別情報という、いわばパスワードのようなものが与えられます。そのパスワードをちゃんと覚えておいてそれを登記申請のときに入力するわけですね。

なお、従来の登記済証もそうでしたが、この登記識別情報というのも再発行してくれませんので、しっかりと保管しておかないといけません。

もともと従来の権利証(登記済証)というものの意味はみなさんご存知でしたでしょうか。不動産を購入したときなどは、この権利証は大切なので、しっかり保管しないといけないというのはご存じだと思いますが、その権利証の仕組みですよね。それは理解しておられますか。

たとえば、従来はAからBに売買契約があって不動産の所有権が移転するという場合、AからBへの所有権移転登記をするために、登記原因証書として売買契約書を登記の申請時に登記所に提出します。

そうすると、登記所は移転登記をすれば、その売買契約書にドカンと「済」というハンコを押して返してくれます。これが権利証(登記済証)です。買主のBはこのハンコを押した売買契約書、つまり権利証を保管しておくわけです。

そして、次にBからCへ売買契約があって、所有権移転登記をしないといけないときに、この権利証をBC間の売買契約とともに提出します。そうすると、今度は登記所がBC間の売買契約書にハンコを押してCに返してくれます。それが権利証となり、Cがそれを大切に保管して次の登記のときに使うわけです。

この権利証の代わりが登記識別情報ということになります。つまり、AからBへの所有権移転登記がなされると、Bが登記識別情報というパスワードのようなものを教えてもらい、次にBからCへ売買契約があり、BからCへ所有権移転登記をするときに、この登記識別情報を使うわけです。